あおもりカシス

あおもりカシスとは

あおもりカシスは、青森県東青地域で栽培されているカシスで、日本の地理的表示保護制度（GI）に登録された第1号の農産物です。特定の地域、品種、栽培方法などの基準を満たしたカシスのみが「あおもりカシス」の名称を使用できます。

概要

「あおもりカシス」の名称は、青森市、平内町、今別町、蓬田村、外ヶ浜町の1市4町で生産されたものに限られます。これらの地域以外で生産されたカシスは、「あおもり」という名称を使用することはできません。しかし、青森県産カシスとして「カシス 青森県産」と表示されることもあります。

特徴

あおもりカシスは、1965年にドイツから導入された品種ですが、種苗法上の品種名は特定されていません。しかし、農林水産省の地理的表示保護制度登録では「あおもりカシス」という品種名で登録されています。海外の品種に比べて小粒で皮が厚く、酸味の中に甘みと苦味があるのが特徴です。品種改良が進んだ海外品種に比べ、より自然に近い味わいを持っていると考えられています。

歴史

ドイツからの導入

1965年、弘前大学農学部の望月武雄教授がドイツの研究員からカシスの苗木提供を受けましたが、持ち帰りを断念。その後、青森県出身の代議士、米内山義一郎氏がドイツ視察の際に苗木を持ち帰りました。この苗木が、あおもりカシスのルーツとなりました。

栽培の始まり

持ち帰られた苗木は望月教授の自宅で栽培が開始され、その後、弘前大学藤崎農場や七戸町にも分けられました。1975年には、望月教授が青森市農林部長にカシスを紹介し、株分けした苗木が青森市農業指導センターに寄贈されました。

普及の試み

青森市農業指導センターで増殖された苗木は、青森市農協婦人部に提供され、栽培が推奨されました。しかし、カシスは酸味が強く生食には不向きだったため、家庭菜園以上の普及は見られませんでした。

特産品化への挑戦

1985年、特産品化を目指し、「青森市管内農協婦人部農産加工振興会」（現在のあおもりカシスの会につながる前身団体）が発足しました。この地道な活動の結果、青森県は日本一のカシス生産地として全国から注目を集めるようになりました。

地理的表示保護制度への登録

2015年、あおもりカシスは地理的表示保護制度（GI）に登録され、第1号となりました。

ゲノム解読

あおもりカシスの正確な品種を特定するため、弘前大学でゲノム解読が行われました。その結果、弘前大学藤崎農場由来のカシスとあおもりカシス在来種は、同一品種であると結論付けられました。

登録生産者団体

あおもりカシスの会が登録生産者団体として活動しています。

組織の変遷

あおもりカシスの会事務局は、青森市経済部から青森市農林水産部へと移管され、現在は青森県青森市栄町に事務局を置いています。

現状

健康志向の高まりからカシスの需要はありますが、供給が追いついていない状況です。会員数はピーク時の約300人から約80人まで減少しており、総出荷量も減少傾向にあります。

まとめ

あおもりカシスは、その歴史と独特の風味から地域ブランドとして大切にされています。生産者の方々の努力によって守られてきたこのカシスを、これからも長く楽しんでいきたいものです。

外部リンク

あおもりカシスの会
あおもりカシス（登録番号第1号）:登録の公示・登録産品紹介 - 農林水産省[[地理的表示]保護制度登録産品](https://www.maff.go.jp/j/shokuhin/gi/k_01/aomori_cassis.html)

もう一度検索