あおり (写真)

あおり撮影技法の概要

あおり撮影は、カメラのレンズの光軸を意図的にずらしたり傾けたりする技術です。この技法により、被写体をより正確に捉えたり、遠近感を調整したりすることができます。あおり撮影は特に大判カメラやビューカメラでよく使用されますが、一眼レフカメラやデジタルカメラでも対応するレンズやデジタル処理を用いて行うことが可能です。

機材の説明

あおり撮影を行うためには、特定の機材が必要です。大判カメラやビューカメラでは、標準でレンズボードやフィルムバックの操作ができるため、あおり撮影に最適です。一眼レフカメラの場合は、あおり撮影専用のベローズユニットやシフトレンズ（PCレンズ、TSレンズ）を使用することで、あおり撮影の効果を得ることができます。デジタルカメラでは、通常のレンズで撮影後にデジタル処理を行い、シフトレンズのような効果を得ることができます。

あおりの種類

あおりは光軸をずらす操作と、光軸を傾ける操作に分けられます。光軸をずらす操作は、具体的には以下のように分類されます。

• - ライズ（上へずらす）
• - フォール（下へずらす）
• - 右シフト（右へずらす）
• - 左シフト（左へずらす）

これにより、イメージサークル内の任意の位置に焦点を合わせた画像を撮影できます。また、光軸を傾ける操作には、

• - 右スイング（右に傾ける）
• - 左スイング（左に傾ける）
• - 上ティルト（上に傾ける）
• - 下ティルト（下に傾ける）

があります。この技術を使うことで、フォーカス面を平行でない位置に移動させることができます。

ビューカメラの操作

ビューカメラでは、レンズボード側とフィルムバック側の操作を独立して行えるため、フロントやリアを組み合わせた複雑なあおり操作が可能です。フィールドカメラではフロント・フォールの機能がないものもありますが、レンズとフィルムを平行にすることで同様の効果を得ることができます。操作によっては、レンズボード側とフィルムバック側で効果が異なる場合があります。シフトレンズに関しては基本的に光軸をずらす操作が中心で、制限付きで傾ける操作も可能です。

あおり撮影の用途

あおり撮影は主に、遠近によるゆがみを補正したり、傾いた被写体に焦点を合わせたりする際に使用されます。特に建物の撮影では、高層ビルなどを下から撮影すると、上に行くにつれて小さくなりますが、あおりを使うことでこの遠近感を補正し、建物全体を平行に撮影することができます。また、斜めの被写体に対しては、焦点面を調整することで、入力した画像が自然に見えるようにすることができます。さらに、逆あおり撮影を行うことで、特定の部分にのみ焦点を合わせ、ミニチュアのような効果を生み出すことも可能です。

まとめ

あおり撮影技法は、写真における構図や遠近感、焦点の合致をコントロールするための非常に有用な技術です。これを活用することで、他の撮影技法では得られない独特な効果を表現することができます。

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