あけぼの大豆

あけぼの大豆：幻の大豆の秘密

山梨県南巨摩郡身延町で栽培されているあけぼの大豆は、その希少性から「幻の大豆」と呼ばれています。この大豆の歴史は明治時代に遡ります。関西地方から導入された大豆が、曙村（現在の身延町北西部）で栽培されたところ、通常の大豆の2倍もの大きさに成長したことが始まりです。驚くべきことに、この変化は品種改良や遺伝子組み換えによるものではなく、曙村特有の気候と土壌がもたらした自然の恵みによるものだとされています。

栽培の難しさと希少性

あけぼの大豆の最大の特徴は、その栽培の難しさにあります。曙村および周辺地域（主に富士川西岸地域）以外で栽培しようとすると、最初は同じ大きさ・糖度の大豆が収穫できるものの、その大豆を種として播種すると、翌年には普通の大豆に戻ってしまうのです。このため、栽培できる地域が非常に限られており、その希少性を高めています。また、栽培農家の高齢化などにより生産量も減少しており、市場に出回ることは稀です。

このような状況を打開するため、身延町では「あけぼの大豆推進事業」を立ち上げ、栽培の拡大を目指しています。

2022年3月31日には、地理的表示保護制度（GI）の対象品目にも登録され、地域ブランドとしての価値も高まっています。

あけぼの大豆の利用

かつては旧曙村でのみ栽培されていたあけぼの大豆ですが、現在は西嶋や下山など、身延町内の富士川西岸地域でも栽培が行われています。播種は6月中下旬に行われ、10月には枝豆として、11月には大豆として収穫されます。

枝豆は東京や横浜市などにも出荷されますが、上述のように数が限られており、市場に出回る期間は非常に短いです。曙村や周辺地域では、10月になると収穫祭が開催され、多くの人々で賑わいます。

大豆は元々、菓子加工用として静岡市などに出荷されていましたが、近年では地域ブランドの向上を目指し、豆腐や味噌などの加工品も作られています。これらの加工品は、JAふじかわ中富直売所などで販売されていますが、こちらも数量が限られており、常に購入できるとは限りません。

幻の大豆を守り、未来へ

あけぼの大豆は、その特異な性質から、限られた地域でしか栽培することができない希少な大豆です。その美味しさと希少性から、地元の人々だけでなく、多くの人々を魅了しています。身延町では、あけぼの大豆の栽培を継続し、その魅力を未来に繋げていくための努力を続けています。

外部リンク

あけぼの大豆ブランドサイト
あけぼの大豆推進事業（身延町）
あけぼの大豆（身延町商工会）
あけぼの大豆（登録番号第119号）:登録の公示・登録産品紹介 - 農林水産省[[地理的表示]保護制度登録産品](URLは省略)

もう一度検索