あざみ生命保険

あざみ生命保険株式会社は、2002年4月1日に大和生命保険相互会社を吸収合併し、現在はプルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険株式会社となっている会社の旧商号です。ここでは、合併以前のあざみ生命保険について解説します。

設立の経緯

あざみ生命保険は、2000年8月に経営破綻した大正生命の保険契約を引き継ぐために、2001年2月20日にソフトバンク・ファイナンスと大和生命保険相互会社が折半出資して設立されました。

2001年3月31日には大正生命の保険契約の包括移転を受け、同年7月1日には大和生命から新契約業務などの営業譲渡を受けました。さらに2002年4月1日には、既契約の維持管理に特化していた大和生命保険相互会社を合併し、大和生命保険株式会社に商号を変更しました。

「あざみ生命」という名称は、わずか1年で消滅しましたが、この合併は、あざみ生命保険設立当初から予定されていたものでした。合併後、ソフトバンク・ファイナンスは保有していた株式を売却し、投資を回収しました。

複雑なスキームの背景

あざみ生命保険は、大正生命の受け皿会社として設立された当初から、1年後に大和生命との合併を前提としていました。そのため、新契約業務の営業譲渡を受けるなど、複雑なスキームが用いられました。さらに、設立時の資本金の半分は大和生命が出資していました。これらの背景には、大和生命側の事情がありました。

あざみ生命保険設立当時は、第百生命、大正生命、千代田生命、協栄生命、東京生命といった生保会社の経営危機が相次いで表面化していた時期であり、規模が小さく財務基盤が脆弱であった大和生命も、早期に資本を充実させ、信頼を回復する必要に迫られていました。

しかし、大和生命は相互会社であったため、株式発行などによって外部資金を導入することが困難でした。相互会社から株式会社への転換には、既契約者への株式割り当て作業など、膨大な手間がかかります。一方、相互会社が既存の株式会社（あざみ生命保険）に包括移転（および合併）すれば、そのような作業は不要となり、事実上の株式会社化を時間とコストを削減して実現できるというメリットがありました。

そこで、事実上の株式会社化によって外部資本を導入し、財務基盤の充実を図るとともに、大正生命との統合によって規模の拡大を図ることを目的に、このスキームが採用されました。

このスキームについては、既契約者の権利を侵害するのではないかという批判や、再合併が行われなかった場合には経営危機に陥る可能性があるといった指摘もなされました。

もう一度検索