あした順子・ひろし

あした順子・ひろし：昭和・平成を駆け抜けた夫婦漫才師

あした順子・ひろしは、漫才協会と落語協会に所属していた男女漫才コンビです。1960年の結成以来、昭和後期から平成時代にかけて、独特の芸風で多くの人々を魅了しました。2015年にひろしさんが亡くなり、事実上の解散となりましたが、その人気と功績は今なお語り継がれています。

メンバー紹介

あした順子 (1932年12月12日 - ) は、ツッコミ担当でした。本名は河野順子。東京生まれで、音曲漫才師である両親の影響を受け、芸能一家で育ちました。幼少期から日本舞踊やモダンバレエを学び、戦後には楽団専属ダンサーとして活動。その後、結婚と離婚を経て、奇術師として活動していたところを、ひろしさんと出会い、コンビを結成しました。

順子さんは、持ち前の明るさと力強さで、漫才界で活躍しました。ひろしさんの逝去後も、高座に上がり続け、後進の指導にも尽力しました。落語協会を退会後は、漫才協会の名誉会員として活動を続けています。

あしたひろし (1922年6月10日 - 2015年11月3日) は、ボケ担当でした。本名は大野寛。東京生まれで、映画の端役や司会業などを経て、順子さんとコンビを結成しました。ひろしさんは、独特のユーモラスなキャラクターと、順子さんの激しいツッコミとの絶妙なバランスで、観客を沸かせました。

ひろしさんは、2010年に病気療養のため舞台を離れ、2015年に老衰のため亡くなりました。93歳でした。

コンビの経歴

当初はマジックコントのようなスタイルでしたが、順子さんの激しいツッコミが評判を呼び、どつき漫才に転向。歌謡ショーやキャバレー、女子プロレスの前座など、様々な場所で活躍しました。

1960年代末には、秋田實師匠の後見を得て上方へ進出し、多くの先輩芸人たちと共演。大阪万博終了後の1971年には拠点を東京に戻し、落語協会に入会。1976年には漫才協会の真打ちに昇進しました。

1990年代後半からは、ひろしさんの高齢化にも関わらず、人気は急上昇。しかし、2010年以降はひろしさんの病気療養のため活動は減少。2015年のひろしさんの死後、順子さんは2017年に落語協会を退会し、事実上引退しました。

芸風と代表ネタ

あした順子・ひろしの漫才は、順子さんの激しいツッコミと、ひろしさんの間抜けなボケが特徴でした。夫婦漫才のような設定で、順子さんが亭主関白な妻、ひろしさんがそれに振り回される夫という役割を演じることが多く、その掛け合いは幅広い世代から人気を得ました。

時事ネタも得意とし、マイケル・ジャクソンやテレビドラマなどを題材にした漫才は、斬新で笑いを誘いました。また、順子さんの日本舞踊の素養を生かした踊りや、奇術、コントなども取り入れ、多様な芸を披露しました。

代表的なネタとして、「男はあなたひろし〜」という替え歌漫才や、順子さんがひろしさんを投げ飛ばす「首投げ」、介護ネタなどがあります。「首投げ」は、女子プロレスの前座時代にレスラーから教わった技で、貴重な映像がテレビ番組で紹介されたこともあります。

受賞歴・作品集

あした順子・ひろしは、NHK漫才コンクール努力賞や浅草芸能大賞奨励賞を受賞するなど、高い評価を得ています。また、漫才のライブ音源集や、コンビの歴史をまとめたDVDも発売されています。

まとめ

あした順子・ひろしは、独特の芸風と持ち前の明るさで、昭和・平成の漫才界を彩った名コンビでした。2人の人生と漫才は、多くの人々に笑いと感動を与え続け、日本の漫才史に大きな足跡を残しました。彼らの芸は、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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