あたしの向こう

あたしの向こう：aikoの32作目シングル

2014年11月12日、aikoの32枚目のシングル「あたしの向こう」がポニーキャニオンよりリリースされました。品番はPCCA-15017です。フジテレビ系テレビドラマ『素敵な選TAXI』の主題歌として書き下ろされたこの楽曲は、aikoのキャリアの中でも重要な一曲と言えるでしょう。

制作背景と楽曲への想

前作「君の隣」から約9ヶ月半ぶり、アルバム『泡のような愛だった』からは約5ヶ月半ぶりのリリースとなりました。2014年のライブツアー『LOVE LIKE POP vol.17』開催中、ドラマプロデューサーから主題歌制作の依頼があり、制作がスタートしました。「立ち止まりそうな時に背中を押してくれる歌を」という要望に応えるべく、aikoはドラマのあらすじを読み込み、楽曲制作に取り組みました。

これはaikoにとって珍しい制作スタイルでした。ドラマの内容を深く理解した上で、「過去に遡れるならどうしたいだろう」と考えながら歌詞を綴っていったのです。以前から温めていた歌詞に新たな言葉を書き加え、完成した歌詞には「好きな人のことを前向きに忘れられたらいいな」という切ない想いが込められています。

多様な楽曲とミュージックビデオ

シングルには表題曲「あたしの向こう」以外にも、「ドライヤー」と「ハレーション」の2曲が収録されています。それぞれの楽曲の歌詞は異なる時期に書かれたもので、aikoの音楽的進化と心情の変化を垣間見ることができます。

「あたしの向こう」は、当初はテンポの遅いバラード調の楽曲でしたが、最終的にはOSTER projectによる編曲によって、現在の形となりました。これはaiko作品においてOSTER projectが初めて編曲を担当した楽曲でもあります。

「ドライヤー」は、aikoの私物であるタオルやドライヤーをヒントに書かれた歌詞が印象的です。身近な物を通して描かれる、二人の微妙な距離感が心を打ちます。「ハレーション」は2007、2008年頃に書かれた歌詞を使用しており、鏡に映る恋人の姿を通して、自分の気持ちの大きさに気付く瞬間が表現されています。

ミュージックビデオは丸山健志監督による作品です。ショートバージョンが11月6日、フルバージョンが11月25日にYouTubeで公開され、大きな話題を呼びました。

パッケージとプロモーション

シングルは初回限定仕様盤と通常仕様盤の2種類がリリースされました。初回限定仕様盤はカラートレイ仕様です。さらに、ライブツアー『LOVE LIKE POP vol.17.5』会場限定で、「LLP17.5お近づき記念盤『着れないけどね！CD』」が販売されました。こちらはCDに加え、ミニTシャツとaiko手書き歌詞が封入されたボックス仕様となっています。

プロモーション活動として、11月4日にはトレーラー映像がYouTubeで公開され、11月15日と16日には「週末限定ポスタープレゼントキャンペーン」が実施されました。

チャート成績

「あたしの向こう」は、オリコン週間チャートで初登場4位（約4.1万枚）を獲得。サウンドスキャンジャパンのチャートでも初回限定仕様盤が初登場5位（約2.9万枚）と、高い人気を証明しました。

まとめ

「あたしの向こう」は、aikoの音楽性と表現力の高さを改めて示す、素晴らしいシングルです。ドラマ主題歌としての役割だけでなく、aiko自身の心情や音楽への取り組み方が反映された、聴く者の心を深く揺さぶる作品となっています。様々な要素が組み合わさり、aikoのアーティストとしての魅力が凝縮された、まさに珠玉の一曲と言えるでしょう。

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