あただ型掃海艇

あただ型掃海艇について

あただ型掃海艇は、海上自衛隊が運用していた中型の掃海艇であり、輸入に頼らず国産で建造された初の木造掃海艇です。この艦級は、特に戦後の日本において、掃海戦力の確保と国産技術の発展を象徴する存在でした。

背景

第二次世界大戦の終結に伴い、日本の沿岸には多くの機雷が存在しており、その影響で商業輸送や海上交通が大きな打撃を受けました。このため、掃海艇の必要性が高まり、戦後の日本においても掃海部隊は重要な役割を果たしていました。1946年には海上保安庁に組織が再編され、1952年には警備船部隊との統合により保安庁警備隊が形成されました。掃海艇の国産化は、その発足の初年度からの重要な目標として掲げられました。

計画と建造

昭和28年度の計画に基づき、最初の艦艇が建造されることとなります。この計画では、米海軍の小型掃海船を参考にしつつ、国産の掃海艇を設計することが求められました。最初に建造されたのが、あただ型の2隻であり、これらは日本初の木造の掃海艇として位置づけられました。これらの艦船は、主に実験的な性格を持ち、異なるデザインが試みられました。あただ型は丸型の船体で設計され、他の艦では角型の船体が採用されました。

設計と技術

あただ型掃海艇はその建造において、アメリカ海軍の掃海艇をモデルにしながらも、独自の技術と構造が追求されました。船体は、軽量化と機動性を重視した設計が行われ、材料には建材として特に優れた木材とアルミニウム合金が用いられました。この技術的チャレンジは、特に大型木製船舶の建造において、新しい試みであり、多くの技術者にとって冒険となりました。

推進機関

艦艇の推進機関は、建造当初から複数の異なるディーゼルエンジンが検討されました。最初の2隻には三菱製のYV10ZCエンジンが搭載され、一隻には西ドイツ製のベンツMB820エンジンが試用されました。このように、異なるエンジンの比較研究を通じて、国産エンジンの実用化を目指していましたが、排気の配置や騒音問題が発生しました。

装備

あただ型掃海艇は、多様な掃海装備が搭載されており、係維掃海具や磁気掃海具も用意されました。特に、53式掃海具は、米海軍の装備を参考にしながら開発されたものであり、その性能は高く評価されました。一方で、音響機雷に対しての掃海具の開発は不十分であり、音響掃海具は装備されないままでした。

結論

あただ型掃海艇は、戦後の日本における掃海能力の発展と国産技術の確立に寄与した重要な艦級です。掃海艇の建造に関する技術的な挑戦が新たな可能性を開き、今後の海上自衛隊の戦力強化にも大きな影響を与えたと言えます。

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