あなたがいたから僕がいた

郷ひろみの18枚目のシングル「あなたがいたから僕がいた」は、1976年8月1日にリリースされ、彼の代表曲の一つとして長く親しまれています。この曲は、それまでにも数々のヒット曲を世に送り出してきた郷ひろみにとって、また新たな境地を開く、記念碑的な作品となりました。

曲調は、彼の最大のヒット曲である「よろしく哀愁」を思わせる、どこかノスタルジックで切ないメロディーが特徴です。郷ひろみ自身の歌声と相まって、聴く者の心に深く染み入る、心に響く名曲といえるでしょう。作詞は橋本淳、作曲は筒美京平という、日本の音楽史に名を刻む名コンビが担当しており、彼らの才能が存分に発揮された、完成度の高い楽曲に仕上がっています。

シングルジャケットの写真は、著名な写真家である篠山紀信が撮影を担当しました。篠山紀信の洗練された感性と、郷ひろみの魅力的な姿を融合させた、芸術性の高い作品となっています。このジャケット写真は、単なる宣伝媒体という枠を超え、音楽史に残る名作の一つとして高く評価されています。

「あなたがいたから僕がいた」は、第18回日本レコード大賞において大衆賞を受賞しました。当時、大衆賞の選考は非常に激しく、キャンディーズとの間で接戦を繰り広げた結果、辛くも郷ひろみが受賞を果たしました。受賞が決定した瞬間、郷ひろみは感極まって大泣きしたと伝えられており、その感動的な様子は多くの人々の記憶に刻まれています。

さらに、この年の日本レコード大賞では、歌唱賞に西城秀樹と野口五郎が選ばれ、新御三家と呼ばれる3人が揃って栄誉に輝きました。このことは、当時の日本の音楽シーンにおいて、新御三家がどれほど大きな存在であったかを示す、象徴的な出来事となりました。

カップリング曲である「夏のページ」も、橋本淳による作詞と、高田弘による編曲で彩られた、美しい楽曲です。A面とはまた違った魅力を持つこの曲は、アルバム『GOLDEN☆BEST 郷ひろみ シングル・コレクション』に収録されており、郷ひろみの音楽的多様性を垣間見ることができます。

その後も「あなたがいたから僕がいた」は、多くのアーティストによってカバーされています。野口五郎は2010年のカバーアルバム『GORO Prize Years, Prize Songs ～五郎と生きた昭和の歌たち～』で、松本伊代は2021年のアルバム『トレジャー・ヴォイス』でこの曲を収録し、それぞれの解釈で新たな魅力を表現しています。これらのカバーによって、この曲が時代を超えて愛され続けていることが改めて証明されています。

「あなたがいたから僕がいた」は、郷ひろみ自身のキャリアにとっても、日本の音楽史にとっても、重要な楽曲の一つといえるでしょう。その魅力は、時代を超えて多くの人々の心を捉え続け、これからも聴き継がれていくことでしょう。

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