あべ弘士

あべ 弘士（あべ ひろし）

あべ弘士は1948年6月19日に北海道旭川市で生まれた絵本作家である。彼の作品は、動物や自然をテーマにしたものが多く、広く愛されている。彼の絵本作家としてのキャリアの舞台裏には、動物園での長い勤務経験が大きな影響を持っており、動物との深い関わりと独特の視点が作品に表れている。

幼少期と成長

あべは、3人兄弟の末っ子として育ち、幼いころから自然の中で遊ぶことや絵を描くことが得意だった。小学校から高校時代までには百人一首にも熱中し、市の大会で優れた成績を収めた経験がある。また、中学時代には野球部に入りたかったが、競争の激しさから断念し、その後、合唱部へと転向。高校生活をつややかな青春の思い出として過ごした。

高校を卒業した後の進路については、3年連続で大学受験に失敗し進学を諦めざるを得なかった。叔父の経営する鉄工所に勤務することになるが、その生活の中で再び絵に魅了され、独学で勉強を開始。東京での活動を計画するも、恋愛や生活の状況から断念し、動物園での仕事に興味を抱くようになった。

動物園勤務

1972年、あべは23歳で旭川市の旭山動物園に飼育係として勤務を開始した。動物たちの生態を理解し、その魅力を伝える重要な役割を果たしてきた。彼は、飼育員の仲間と共に行動展示の構想を描き、それが動物園の再生の一助となった。特にカワウソに関しては、何度もシベリアに足を運び、彼らの生態を観察しようとした。その熱意は、彼の絵本制作にも大きく寄与した。

在職中、彼は動物園の機関誌や地域のタウン誌にイラストを寄稿し、その評判を受けて絵本の制作に着手することになる。特に福音館書店からの依頼が彼の絵本作家としての立ち上がりのきっかけとなった。休日を中心に執筆活動を行い、動物と触れ合う日々の中で、多くの名作を生み出していった。

絵本作家としての活動

1996年に彼は動物園を退職し、絵本作家として本格的な活動をスタートさせる。彼の作品は数多くの賞を受賞しており、例えば『あらしのよるに』では講談社出版文化賞絵本賞、さらには『ゴリラにっき』で小学館児童出版文化賞を受賞。また、『ハリネズミのプルプル』シリーズでは赤い鳥さし絵賞を受賞するなど、多方面で評価された。

彼の代表作には、動物たちの日常を描いた作品や、友情や冒険をテーマにした絵本が多数あります。特に「どうぶつえん物語」や「クマと少年」など、子どもたちに向けた暖かいメッセージを持つ作品が多く、親子で楽しむことができる内容となっている。

最近の活動

2011年には、旭川市を拠点とするNPO法人「かわうそ倶楽部」を設立し、理事長としてアートスペース「ギャラリープルプル」の運営にも関与している。これにより、新たな世代に動物や自然の魅力を伝える活動を続けている。2022年には独立リーグ・北海道ベースボールリーグの富良野ブルーリッジで顧問を務め、球団キャラクターの企画にも関わっている。

結論

あべ弘士は、絵本作家としての活動だけでなく、多岐にわたるフィールドでの表現活動に取り組む多才な人物である。彼の豊かな表現力と動物への深い愛情は、今後も多くの人々に影響を与え続けるだろう。

もう一度検索