あやめ十八番

あやめ十八番（あやめじゅうはちばん）は、2012年に設立された日本の演劇団体です。花組芝居に所属する俳優・堀越涼氏が主宰し、すべての作品の作・演出を手がけています。

この団体は、「他人の為に生きることの尊さ」を活動の根幹をなす命題として掲げています。現代社会において、他者への思いやりや貢献が時に見失われがちな中で、あえてその価値を問い直します。そして、「本当の幸せとは何なのか？」という普遍的な問いを、演劇という表現手法を通して深く掘り下げ、観客と共に模索することを活動の目的としています。団体としての公演のみならず、主宰である堀越氏の個人ユニットとして作品を発表するなど、柔軟な形式で活動を展開しています。

団体の中心を担うのは、代表として作、演出、そして俳優としても舞台に立つ堀越涼氏です。副代表を務める大森茉利子氏は俳優として劇団を支え、他にも金子侑加氏（俳優）、吉田能氏（音楽担当および俳優）、中野亜美氏（俳優）といった個性豊かなメンバーが名を連ねています。これらの構成員が一体となり、あやめ十八番ならではの繊細かつ力強い世界観を舞台上に創り上げています。

旗揚げ以来、あやめ十八番は精力的に公演を重ねてきました。主な舞台作品には、2012年の旗揚げ年に発表された一人芝居『八坂七月諏訪さん九月』や『Love potion #9』があります。2013年にはアトリエ公演『淡仙女』、一人芝居『伊勢系 水巴』、企画参加作品『長井古種 かすり乙女』を上演。2014年には『江戸系 諏訪御寮』、『肥後系 新水色獅子』を発表しました。2015年には大森茉利子氏による一人芝居『肥後系 雪燈篭』、そして『長井古種 日月』、『伊勢系 薄化粧』、番外公演『雑種 晴姿』といった多彩な作品群を上演しています。2016年には『ゲイシャパラソル』と『江戸系 諏訪御寮』の再演に加え、番外公演『雑種 花月夜』、『霓裳羽衣』を上演。2017年には『ダズリング＝デビュタント』、初の東京・大阪二都市での公演となった『三英花 煙夕空』を成功させました。その後も、2018年『ゲイシャパラソル』（再演）、2019年『しだれ咲き サマーストーム』、2020年『江戸系 宵蛍』、2021年『音楽劇 百夜車』、2022年『空蝉』、そして2023年『六英花 朽葉』と、継続的に質の高い作品を発表し続けています。舞台作品だけでなく、映像作品の制作も行っており、2014年には『江戸系 紅千鳥』、2015年には『江戸系 猿踊』を発表しています。

あやめ十八番の活動は、各方面から高い評価を受けています。映像作品『江戸系 紅千鳥』は2014年の第3回クォータースターコンテストにおいて優秀作品賞を受賞。翌年の第4回同コンテストでも、映像作品『江戸系 猿踊』が再び優秀作品賞に輝きました。舞台作品においては、2016年の番外公演『雑種 花月夜』が、権威ある2016年度佐藤佐吉賞で最優秀作品賞を含む数々の賞を受賞するという快挙を成し遂げました。さらに、2020年に上演された『江戸系 宵蛍』は、一般観客や演劇関係者からの評価を反映するCoRich舞台芸術アワード！2020で第8位にランクインするなど、確かな実績と人気を兼ね備えていることを証明しています。

他者への深い洞察に基づいたテーマ設定、堀越涼氏による細部まで練り上げられた脚本と演出、そしてそれを体現する俳優たちの表現力によって、あやめ十八番は唯一無二の演劇世界を創造しています。「本当の幸せ」という永遠の問いに向き合い続ける彼らの活動は、観客に新たな視点と感動を提供し続けています。

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