ある兵士の賭け

映画『ある兵士の賭け』について

『ある兵士の賭け』（英題：The Walking Major）は、1970年6月6日に公開された日本のドラマ映画です。石原プロモーションが製作し、松竹映配が配給しました。この作品は、第28回ゴールデングローブ賞の外国映画賞（英語映画）にノミネートされるなど、国際的にも評価されています。

あらすじ

物語は、1960年のクリスマスの少し前、駐日米軍大尉のクラーク・アレンが、兵士のデニスと共に、座間キャンプから大分県別府市の孤児施設「白菊寮」まで徒歩で旅をするという賭けから始まります。この賭けの目的は、6500ドルを集め、白菊寮の改築費用に充てることでした。この美談は日本中で話題となりますが、カメラマンの北林宏は、アレンが過去に朝鮮戦争で罪のない農民を射殺した事実を知っており、アレンを追求します。

アレンは、過去の罪を償うため、白菊寮の子供たちと親睦を深め、寮の改築を願っていました。しかし、道中、デニスが病に倒れ、偶然出会った滝口節子の助けを借りて病院へ搬送されます。その後、アレンは崖から落ちて足を怪我してしまいます。それでも、アレンは約束のクリスマスに白菊寮へ到着しました。

改築は1961年から始まりましたが、資金不足のため中断してしまいます。アレンは再度、座間から大分まで歩きますが、わずか3万円しか集まりませんでした。そこで、北林は大分の新聞記者・衣笠と協力して募金活動を開始します。三度目の挑戦で、ついに白菊寮の改築が完成します。

その後、アレンは少佐に昇進し、ベトナム戦争に従軍します。北林はベトナムへアレンを訪ね、二人は和解します。しかし、北林が帰国した後、アレンはゲリラの攻撃によって戦死します。アレンの死を知らされた山田ママと子供たちは、空港で帰りを待ちますが、飛行機から降りてきたのは北林だけでした。

アレンの遺志を継ぎ、北林はアレンの心を知るため、自ら大分へ向かって歩き始めるという感動的な物語です。

主要キャスト

クラーク・J・アレン：デール・ロバートソン
北林宏：石原裕次郎
デニス・パーマ：フランク・シナトラJr.
山田シゲ：新珠三千代
滝口節子：浅丘ルリ子
衣笠忠夫：三船敏郎

スタッフ

監督：キース・エリック・バード（キース・ラーセン）
共同監督：千野皓司、白井伸明
製作総指揮：石原裕次郎、中井景
製作・原案：奥田喜久丸
ストーリー：ジェームス三木
脚本：ヴィンセント・フォートレー、猪又憲吾
* 音楽：山本直純

備考

この映画は、当初千野皓司が監督を務めていましたが、プロデューサーとの意見の相違により降板し、助監督だった白井伸明が後を引き継ぎ完成させました。

テーマ

この映画は、過去の過ちと贖罪、戦争の悲劇、そして人間の善意と希望を描いています。アレンの行動は、過去の罪を償おうとする人間の強さを示すと同時に、戦争によって傷ついた人々の心を癒す力があることを示唆しています。また、北林の行動は、他者の心を理解しようとすることの大切さを教えてくれます。

評価

『ある兵士の賭け』は、公開当時から高い評価を受け、多くの観客の心を掴みました。感動的なストーリーと、俳優たちの熱演が、この映画を不朽の名作としています。特に、石原裕次郎とデール・ロバートソンの演技は、観る者に深い感動を与えます。また、山本直純による音楽も、映画の世界観をより一層引き立てています。

この映画は、戦争という悲劇的な出来事の中で、人間の善意と希望がどのように輝くかを描いた作品として、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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