ある子供

映画『ある子供』（L'Enfant）

『ある子供』は、2005年に公開されたベルギー・フランス製のドラマ映画で、監督はダルデンヌ兄弟であるジャン＝ピエール・ダルデンヌとリュック・ダルデンヌです。本作は、若いカップルのブリュノとソニアが経済的な困難に直面しながら、その中でどのように愛情や道徳が試されるのかを描いています。

受賞歴と評価

本作は第58回カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルム・ドールを受賞しており、ダルデンヌ兄弟にとって二度目の受賞となります。また、ヨーロッパ映画賞では作品賞と主演男優賞にノミネートされ、さらに第78回アカデミー賞ではベルギーの外国語映画部門代表として選出されました。これらの受賞は映画としての質が高く評価されている証拠です。

ストーリーの概要

物語は、20歳のブリュノと18歳のソニアが生活保護給付金とブリュノの盗みで生計を立てながら、新たに生まれた子供との生活を描いています。ソニアはブリュノに真面目に働くよう促しますが、彼はその仕事を断ります。状況は急変し、ある日ブリュノが子供を養子として売ってしまったことで、ソニアはショックに倒れます。

ブリュノは子供を取り戻そうと試みますが、ソニアは彼に激しい怒りを覚え、ブリュノを家から追い出します。その後、ブリュノは再び盗みを働き、彼の子分である14歳のスティーブが逮捕される事態が発生。ブリュノは自首する選択を余儀なくされ、物語は彼の内面的な葛藤と運命を浮き彫りにします。

キャスト

• - ブリュノ：ジェレミー・レニエ
• - ソニア：デボラ・フランソワ
• - スティーヴ：ジェレミー・スガール
• - 若いチンピラ：ファブリツィオ・ロンジョーネ
• - 私服の刑事：オリヴィエ・グルメ
• - 盗品を買う女：ステファーヌ・ビソ
• - ブリュノの母：ミレーユ・バイ

音楽と演出

映画のエンドロールは、音楽や音声が一切ない無音の状態で流れます。この独特な演出は、作品の重いテーマとシリアスな雰囲気を強調しています。無音という演出は、観客に深く考えさせる要素を提供し、映画のメッセージを心に刻むようにしています。

日本での公開

『ある子供』は、日本では2005年12月10日に恵比寿ガーデンシネマで公開され、全国でも順次上映されました。DVDは2006年6月23日に発売され、視聴者に深い感動を提供する機会を再び与える形となります。

この映画は、若者の無防備さと、責任を持つことの難しさを描いた感動的な作品であり、一見普通の家庭の中に潜む深刻な問題を見つめ直すきっかけを与えてくれます。

もう一度検索