あんバタサン

あんバタサン：北海道の新たなお菓子文化

あんバタサン（AnBataSan）は、北海道河東郡音更町に本社を構える「柳月」が製造・販売している菓子です。このお菓子は、当地で育った十勝産のアズキを使用した粒餡に、バタークリームを加え、サブレーで挟んだものです。2018年の登場以来、「北海道らしいお菓子」として多くの支持を集めてきました。また、2019年にはNHKの連続テレビ小説『なつぞら』にも登場し、一層の注目を浴びることとなりました。

開発の歴史

柳月は1947年に創業し、地元・十勝の素材に根ざしたお菓子作りを続けてきました。創業当時、和菓子が主流だった時代に、和洋折衷のお菓子を生み出そうとする試みが始まりました。昭和20年代末、職人たちが和菓子の餡と洋菓子のバターを融合させたところ、驚くほど美味しい組み合わせが生まれたのです。この研究は長年にわたって続けられ、特に熱心に取り組まれてきました。

2018年は北海道命名150年という節目の年でもあり、柳月は「より北海道らしい、十勝らしい菓子」をテーマに考案を進め、その成果が「まさに十勝を代表する魅力を詰め込んだあんバタサン」として市場に登場しました。

特徴と風味

あんバタサンは、特徴的な食感と風味を持つ菓子です。サブレーは軽やかな口当たりで、豊かなバターの香りが楽しめます。また、アズキの甘さとバターの塩味の絶妙なバランスが取られています。餡とバタークリームは4対6の比率で配置されており、これが最も味わいのコクを引き出すための配合とされています。特に、バタークリームには風味豊かな発酵バターを使用し、オホーツクの塩が隠し味として加えられている点が特徴です。

さらに、サブレーに使われる小麦粉も十勝産で、食感に対しても細かい配慮がなされています。製造時には季節に合わせた工夫が施され、特に冬の製造ではバターを温めて溶けやすくするなどの工夫が見られます。大切なパッケージにはキャラクターのイラストが描かれており、購買後の利用法としてブックカバーやマスク入れとして再利用できるアイデアも提案されています。

反響と人気

「あんバタサン」は2019年に放送されたNHKの連続テレビ小説『なつぞら』の舞台が十勝であったことから、「優しいあんこ」キャンペーンの一環としても取り上げられました。その影響で、関連のパッケージ版が販売開始されると、連日完売となり、製造が追いつかないほどの人気を誇りました。ドラマ内での類似商品「おバタ餡サンド」の登場も、あんバタサンの知名度向上に寄与しました。

柳月には問い合わせが多数寄せられ、インターネット経由の注文は全国から殺到しました。お店での販売も好調で、連日売切れ続出となり、その人気はうなぎ登りです。2023年時点で、販売数は2000万個を超えるというヒット商品となったことも、その証拠となっています。

あんバタサンは、ただのスイーツではなく、北海道の自然の恵みと職人の情熱が詰まった商品と言えるでしょう。この菓子を通じて、北海道の美味しさを広めていくことが期待されています。

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