いかさま狐狩り

『いかさま狐狩り』（原題：OUT-FOXED）は、1949年公開のアメリカ合衆国製アニメーション短編映画です。メトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）所属のアニメーター、テックス・アヴェリー監督による作品で、日本語タイトルからもわかる通り、狐狩りを題材にしたコメディとなっています。

物語の中心人物は、猟犬のドルーピーです。彼は初老の男性ハンターに飼われており、他の猟犬たちと共にキツネ狩りに参加します。キツネを捕まえるごとに大きなステーキがもらえるというご褒美に、猟犬たちは我先にと狩りに出かけますが、ドルーピーは「あわてるのは嫌いだ」とマイペースにのろのろと出発します。

一方、キツネはドルーピーのライバルとなる狡猾な存在です。名前はレジナルド・フォックス。イギリス訛りで話す、紳士的で気品のあるキツネで、紅茶を片時も手放しません。猟犬たちの攻撃にも動じることなく、優雅に紅茶を嗜む姿は、彼自身の知略の高さを象徴しています。

ドルーピーと猟犬たち、そしてレジナルド・フォックスの知恵比べは、予想外の展開を見せていきます。粗暴で欲深い猟犬たちは、レジナルド・フォックスの巧みな策略に次々と翻弄され、散々な目に遭います。一方、ドルーピーは、レジナルド・フォックスの知略を逆手に取ることで、彼を操り、次々とキツネを捕まえていきます。ドルーピーの策略は、驚くべきものでした。彼はレジナルド・フォックスに「キツネを捕まえるごとにステーキがもらえる」と話し、その言葉に釣られたレジナルド・フォックスは、自身の親戚や仲間を呼び寄せます。結果、ドルーピーは大量のキツネを捕まえ、ハンターのもとへ帰還します。

そして物語のクライマックス。満身創痍で帰ってきた猟犬たちが目にしたのは、信じられない光景でした。ハンターの家では、大勢のキツネたちが、ステーキを囲んで盛大なパーティーを開いており、ドルーピーはその中心人物として称えられていました。獲物のはずのキツネたちが、狩りの褒美を独占するという、皮肉な結末を迎えるのです。

この作品には、ドルーピーの他に個性豊かなキャラクターが登場します。猟犬たちは、ウィンストン・チャーチルやフランクリン・ルーズベルトといった著名人にちなんだ名前を持つ一方、ドジで欲深い性格をしています。彼らの名前と彼らの行動のギャップが笑いを誘います。また、レジナルド・フォックスの仲間たちも登場し、物語に賑やかさを加えています。

『いかさま狐狩り』は、ドルーピーの知略と、レジナルド・フォックスの狡猾さ、そして猟犬たちのドジさが織りなす、テンポの良いコメディアニメーションです。予想外の展開と、ユーモラスなキャラクターたちが織りなす、魅力的な作品と言えるでしょう。何度観ても楽しめる、テックス・アヴェリー監督ならではの、独特のユーモアと魅力が詰まった一本です。

この作品は、様々な媒体で視聴することができます。VHSやDVDソフトとして発売されている他、過去にはTBS系列で放映されていました。様々な場所で、この傑作アニメーションに触れることができます。

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