いがまんじゅう

いが饅頭：埼玉北部で愛される祝いの味

いが饅頭は、埼玉県北部の穀倉地帯、特に鴻巣市、加須市、羽生市、行田市などで親しまれている和菓子です。その特徴は、こしあんの饅頭の周りに赤飯がまぶされていることで、見た目が栗のイガに似ていることからこの名がついたと言われています。農林水産省主催の「郷土料理百選」にも選ばれており、地域の食文化を代表する存在です。

起源と由来

いが饅頭の起源にはいくつかの説があります。

ある農家の嫁が、舅から饅頭を、姑から赤飯を作るように言われ、手間を省くために同時に蒸したところ、饅頭と赤飯が合わさったものが出来上がったという説
餅米が貴重だった時代に、ボリューム感を出すために考案されたという説
饅頭と赤飯を同時に食べたいという願望から生まれたという説

これらの説からもわかるように、いが饅頭は、人々の知恵と工夫、そして地域への愛情が詰まった食べ物なのです。

製法

いが饅頭の製法は、自家製のものと菓子屋のものとで少し異なります。

自家製の場合： 餡入りの饅頭を赤飯で包み、一緒に蒸かすのが一般的です。
菓子屋の場合： 饅頭と赤飯を別々に蒸かし、後から赤飯を饅頭に乗せる方法が採られます。これは、個別に包装して販売する必要があるためです。

いずれの方法でも、蒸し加減が重要で、赤飯ともちもちの饅頭がほどよく調和するように仕上げるのがポイントです。

地域ごとの風習

いが饅頭は、単なるお菓子としてだけでなく、地域の風習とも深く結びついています。

田植え後の農休期（農あがり、野あがり）
夏祭り
秋の稲刈りの時期

これらの時期に、重箱に詰めて親戚や知人に配る習慣がありました。祝い事の内容は地域によって異なり、旧川里町では田植え後の「ノアガリ」の日に、旧騎西町や白岡市大山地区では7月7日の七夕祭りに作られていました。加須市の市街地では、7月28日の久下鷲宮神社の祭りの際に作られるなど、地域ごとの特色が見られます。

現在のいが饅頭

近年では、農家でいが饅頭が作られる機会は減少しつつありますが、菓子職人によって製法が改良され、地域特有の土産物として定着しています。昔ながらの味わいを守りつつ、新しい世代にも愛されるように進化を続けているのです。

まとめ

いが饅頭は、埼玉県の北東部で育まれた、歴史と文化が詰まった和菓子です。そのユニークな見た目と、赤飯ともちもちの饅頭の絶妙な組み合わせは、一度食べたら忘れられない味わいです。ぜひ、埼玉北部を訪れた際には、いが饅頭を味わってみてください。

関連情報

ご当地グルメ
B級グルメ
町おこし（地域おこし）
塩あんびん - 北東部に伝わる和菓子

外部リンク

いがまんじゅう - 鴻巣市
ふるさとの味『いがまんじゅう』のまち - 羽生市
* いがまんじゅうと塩あんびん - 加須市

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