いちご同盟

いちご同盟

『いちご同盟』は、三田誠広によって1990年に発表された青春長編小説である。この作品は、中学生の複雑な心理や友情のかたち、さらには人生への疑念などをテーマに、主人公たちの成長物語を描いている。1997年には映画化され、1999年にはNHK教育テレビでドラマ版も放送された。

あらすじ

物語の中心となるのは、北沢良一という中学三年生の少年である。彼は周囲の同年代の自殺のニュースに衝撃を受け、自身の人生について深く考えるようになってしまう。そんな彼の目の前に現れたのは、同じ学校の野球部のエース、羽根木徹也であった。徹也は陽気で人気者だが、彼を通じて良一は重い腫瘍を抱えながらも懸命に生きる少女、上原直美と出会う。

直美は入院中にもかかわらず、いつも明るく前向きで、彼女の姿勢は良一に深い影響を与えていく。彼女との交流を通じて、良一は自分の考え方や人生観を少しずつ変えていくことになる。物語は、この三人の若者たちの間に芽生える友情や恋愛の要素を交えながら進行する。

登場人物

• - 北沢良一 (演：大地泰仁)

本作の主人公であり、ピアノのレッスンに通いながらも、自殺についての考えに囚われている。

• - 羽根木徹也 (演：谷口秀哉)

良一の同級生であり、野球部のエース。彼は明るく人懐っこい性格で、良一にとっての友人であり、精神的支えでもある。

• - 上原直美 (演：岡本綾)

徹也の幼なじみで、名門女子校に通いながらも現在は病を抱え入院中。良一に恋を抱くが、自身の境遇に対しても前向きである。

• - 東山 (演：森本匠)

また良一のクラスメートであり、野球部員。勉強でも優秀で、非の打ち所がない存在。

• - 船橋 (演：日高慎也)

野球部でキャッチャーを務める友人で、通称は「番長」。

• - 宮坂先生 (音楽教師)

良一の中学の音楽を教える先生で、良一の成長を支えている。

• - 直美の家族 (ドラマ版での役名は異なる)

- 母 (演：鹿沼えり)
- 父 (演：岸部一徳)

• - 北沢良一の両親

- 母 (演：竹下景子)：自宅でピアノ講師をしており、良一との考え方の違いに悩む。
- 父 (演：古尾谷雅人)：出版社を経営し、ほとんど家に帰らない。

書誌情報

本作は河出書房新社から1990年に単行本として出版され、後に集英社文庫や河出文庫でも出版されている。映画版は山口県岩国市を舞台にし、その美しい風景が物語に彩りを添えている。

映画とドラマ版

映画は鹿島勤が監督し、1997年に公開された。音楽は梅林茂が手がけ、映像美と音楽が融和した作品となっている。ドラマ版は1999年に放送され、多くの視聴者に感動を与えた。特に、青少年の葛藤や成長を描いた内容に、多くの共感が寄せられた。

『いちご同盟』は、青春の真っ只中に苦しむ若者たちの姿を通じて、視聴者に多くのメッセージを伝えている。

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