いちばん太鼓

NHK連続テレビ小説『いちばん太鼓』の概要

『いちばん太鼓』は、1985年10月7日から1986年4月5日まで放送されていたNHKの連続テレビ小説第35作です。この番組は昭和40年代の九州・筑豊を舞台に、劇団一家で育った青年が、自らの生母を求めて奮闘しながら大衆演劇の世界へと足を踏み入れる姿を描いています。後半では主要な舞台が大阪に移り、物語の展開が変化していきます。

本作は、NHK大阪放送局が制作した第10作目で、男性主人公によるストーリーとしては前々作『心はいつもラムネ色』に続く形式となりました。主演にはオーディションを通じて570人の中から選ばれた岡野進一郎が起用されました。残念ながら、これまでに完全版や総集編はDVDとして発売されていません。

主要キャスト

• - 沢井銀平（演：岡野進一郎）

主人公であり、物語の中心となるキャラクターです。

• - 沢井雛子（演：三田寛子）

銀平の妻で、物語のヒロインとして重要な役割を果たします。

• - 沢井勘平（演：岸田智史）

銀平の兄で、物語の展開に影響を与える存在です。

• - 沢井宮子（演：三沢恵里）

銀平の祖母で、家庭の重要な部分を担っています。

• - 風間藤五郎（演：桂米朝）

「大阪喜劇劇団」の総帥として、物語の演劇の要素に関与します。

ストーリーの背景とテーマ

本作は、大衆演劇の喜びや苦悩を通じて、家族の絆や個人の成長を描き出しています。主人公銀平は、実の母を探し求める旅の中で、さまざまな人々との出会いや別れを体験し、その過程で自身の立ち位置やアイデンティティを模索していくのです。物語が進むにつれ、家族の関係性や大衆演劇の価値に焦点が当たります。

さらに、視聴者は銀平の成長を見守ると同時に、彼が抱える内面の葛藤や外的な日常生活の厳しさにも触れることができます。このように、本作は青春ドラマとしても、しっかりとした人間ドラマとして構成されているのです。

視聴率と放送の特徴

『いちばん太鼓』は、放送中に最高視聴率39.9%を記録しましたが、平均視聴率は33.4%となり、期待されたほどの成功には至りませんでした。しかし、この番組は大阪制作としての節目の作品でもあり、視聴者の記憶に残る存在となっています。

映像とタイトルバックの工夫

番組の初期のタイトルバックは、雲の間から見える緑の山並みの空撮映像でスタートしました。しかし、日本航空123便の墜落事故の影響を受けて、この映像が不適切とされ、新たに風景を撮影することが決まりました。このように、制作側は視聴者からの意見を真摯に受け止めて、より好ましい番組作りを心掛けていたことがうかがえます。

結び

『いちばん太鼓』は、大衆演劇を通じて描かれる家族の物語であり、主人公の成長に寄り添う作品となっています。放送時期やキャストの魅力、そして制作側の工夫が相まって、視聴者に多くの印象を残した作品として評価されています。

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