いつまでも二人で

『いつまでも二人で』(原題:With or Without You)は、1999年に公開されたイギリス映画です。舞台はベルファスト。結婚5年目を迎えたロージーとヴィンセントは、一見幸せな日々を送っているように見えますが、大きな悩みを抱えていました。それは、子供を授かれないことでした。

二人の生活は、穏やかで平凡ながらも、少しずつ倦怠感を覚え始めていました。そんなある日、ロージーの過去が二人の関係に影を落とします。ロージーはかつて、文通を通じて親しくしていたフランス人男性ブノワと再会するのです。

ブノワはロージーにとって、忘れかけていた初恋の人でした。ロマンティックで感性豊かなブノワとの出会いは、ロージーの心に大きな波紋を広げます。平凡な日常に刺激を求めていたロージーは、ブノワに惹かれ始めます。

一方、夫のヴィンセントは、かつての恋人キャシーと関係を持っていました。ロージーは、ヴィンセントの浮気という衝撃的な事実を知ることになります。この出来事が、ロージーの心を完全にブノワへと傾けさせます。

ブノワへの想いと、夫への失望。葛藤するロージーは、ついにヴィンセントの元を離れ、ブノワと共に新しい人生を歩み始める決意をします。しかし、彼女の選択は本当に正しいのでしょうか？

映画では、ロージーとヴィンセントの結婚生活における喜びと苦悩が丁寧に描かれています。子供を望む気持ち、お互いへの愛情、そして、過去の恋愛の影。これらの要素が複雑に絡み合い、二人の関係に様々な問題を引き起こします。

デヴラ・カーワン演じるロージーは、幸せな結婚生活への憧れと、現実の苦悩のはざまで揺れる女性像を繊細に表現しています。また、クリストファー・エクルストン演じるヴィンセントは、一見平凡ながらも、奥深い感情を持つ男性像を演じ切っています。

そして、イヴァン・アタル演じるブノワは、ロージーの心に新たな風を吹き込む、魅力的な存在感を放っています。脇を固めるフィオヌラ・フラナガンやジュリー・グラハムらも、それぞれの役どころで物語に深みを与えています。

『いつまでも二人で』は、結婚生活の現実と理想の狭間で葛藤する女性の物語、そして、愛の在り方について問いかける、感動的な作品です。平凡な日常の中に潜む、心の揺らぎと、新たな出会いがもたらす変化。この映画は、観る者の心に長く残る余韻を残してくれることでしょう。

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