いのちの器

いのちの器

上原きみ子による漫画作品『いのちの器』は、1991年から連載が開始された長寿作品です。産婦人科医である主人公・有吉響子を中心に、彼女を取り巻く人々との温かい交流や、命の誕生、家族の絆を深く描いています。

あらすじ

物語は、長野県安曇野の山野産婦人科医院を継いだ有吉響子が、様々な困難を乗り越えながら成長していく姿を描いています。響子は、自身も幼い頃に両親を亡くし、養父である山野院長に育てられました。結婚後、夫の晃の浮気や自身の養子縁組など、多くの試練に見舞われます。

響子は、晃との離婚後、新幹線で出産した女性の遺児である桃子を養女に迎え、後に晃と復縁し、実子である穂高と五郎を授かります。さらに、養父の孫である雅志、出産直後に母親を亡くした春菜も養子、養女として迎え、総勢9人の大家族を築きます。

響子は、産婦人科医として、また6人の子供たちの母親として、多忙ながらも充実した日々を送ります。医院には、様々な事情を抱えた患者が訪れ、彼女は命と向き合いながら、温かい医療を提供していきます。

登場人物

メインキャラクター

有吉（山野）響子
主人公。山野産婦人科医院を継いだ産婦人科医。美人で裏表のない性格。実母は新生児の時に亡くなり、養父に育てられた。夫の晃との間に実子2人、養子4人の計6人の子を持つ母親。

有吉晃
響子の夫。かつてはエリートサラリーマンだったが、現在はスーパーの店長。響子との間に一度離婚したが、復縁した。家事が得意で、子供たちの面倒もよく見ている。

有吉（佐伯）雅志
有吉家の長男。響子の養父である山野の孫。絵画が得意な美少年で、後に産婦人科医となる。妹の桃子の親友である花園ほのかと結婚し、5児の父となる。

服部（有吉）優子
有吉家の長女。晃が浮気で設けた子だが、響子を実の母と慕う。医者を目指し、現在は安曇野で女医として活躍している。中学校教師の服部半蔵と結婚し、5人の子を持つ。

矢車（有吉）桃子
有吉家の次女。出産直後に母親を亡くし、響子の養女となる。女優を目指しており、劇団で活動している。後に矢車北斗と結婚し、3人の娘をもうける。

有吉穂高
有吉家の次男。響子と晃の間に生まれた実子。天才肌の悪ガキで、後に実業家となる。ペンションの娘、麻鈴と結婚し、3児の父となる。

榊原（有吉）五郎
有吉家の三男。響子と晃の間に生まれた実子。血を見ると卒倒してしまう。薬学部に入学後、優子の実母の養子となる。

有吉春菜
有吉家の三女。出産直後に母親を亡くし、響子の養女となる。ピアノの才能があり、音楽家として活躍している。

その他の登場人物

小石川頼子
響子の実の伯母。以前は東京に住んでいたが、現在は響子たちと暮らしている。子供たちからは「頼子おばさま」と呼ばれ、慕われている。

山野雅仁
響子の養父で、山野医院の2代目院長。響子を実の娘のように育てた。

秋月千尋
響子の実母。

有吉ほのか
雅志の妻。旧姓花園。花園クリニックの院長。

服部半蔵
優子の夫。安曇野中学校の教師。

矢車北斗
桃子の夫。元俳優で、現在は教師。

有吉麻鈴
穂高の妻。旧姓富士丸。パティシエ。

松下艶子
山野医院の婦長。先代院長の時代から山野医院に務めている。

榊原房江
優子の実母。晃と関係を持ち、優子を産む。後に、五郎の養母になる。

榊原良純
房江の夫。

書誌情報

単行本

秋田レディースコミックスデラックスより、既刊95巻（2024年11月15日現在）

文庫版

秋田文庫より、既刊39巻（2018年5月24日現在）

テレビドラマ

1998年に東海テレビ制作で、フジテレビ系列の昼ドラ枠にて放送されました。全12週、59回。

キャスト

有吉響子：渡辺梓
有吉晃：岡野進一郎

スタッフ

企画：出原弘之
プロデューサー：平野一夫、小池唯一、風岡大
脚本：梶本恵美
演出：奥村正彦、金子与志一

主題歌

* 石嶺聡子「バイバイ」


『いのちの器』は、漫画、テレビドラマと様々な形で展開され、多くの人々に感動を与えてきました。この作品は、家族のあり方や命の大切さについて、深く考えさせてくれる物語です。

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