うしろの正面だあれ

『うしろの正面だあれ』

『うしろの正面だあれ』は、海老名香葉子が著した自伝的エッセーおよび児童文学で、1940年代の太平洋戦争下における孤独や苦悩を描いた作品です。この作品は1985年に金の星社から出版され、続いて1991年には劇場版アニメとしても公開されました。

概要

小説は昭和15年、日本の東京市本所区に住む少女、中根かよ子の物語から始まります。かよ子は両親、祖母、3人の兄と平穏な日常を過ごしていましたが、戦争の勃発により彼女の生活は一変します。家族と友人と引き離され、各地へ疎開することとなり、戦争の影が日常に忍び寄る様子が描かれています。

物語の中でかよ子は、家族を失ったり、知らない場所での生活を余儀なくされたりと、様々な試練に直面します。それでも彼女は、家族や友人との絆を抱きしめながら、日々を生き抜いていく姿が感動を呼びます。

登場人物

この作品には個性豊かなキャラクターが登場し、かよ子の成長を見届けます。主な人物には以下のような者たちがいます。

• - 中根かよ子（声：三輪勝恵）: 本作の主人公。戦争の影響で成長していく少女。家族を失いながらも、前向きに生きようと奮闘します。
• - 中根音吉（声：若本規夫）: かよ子の父。和竿職人として一家を支えるが、戦争によって命を落とします。
• - 中根よし（声：池田昌子）: かよ子の母。明るく温かい性格を持ち、かよ子に愛情を注ぎます。
• - 中根喜三郎（声：野沢雅子）: かよ子の三兄。かよ子の良き理解者で、彼女を守るために奮闘します。
• - 中根孝之輔（声：柳沢三千代）: かよ子の四男の弟。彼の無邪気な姿は物語に微笑ましさを与えます。

映画化とその影響

作品の人気は高く、1991年には劇場版のアニメ映画が製作されています。この映画は、戦争を背景にしたかよ子の物語を映像として大衆に届けることとなり、多くの人々の心に傷跡を残しました。さらに、その続編として1997年にエッセイが刊行され、これも2005年にアニメ映画化されるなど、作品は世代を超えて受け継がれています。

物語の核心

『うしろの正面だあれ』は、単なる戦争物語ではなく、家族愛や友情、希望と絶望といったテーマが多く詰まった感動的な作品です。特に、かよ子の成長過程や、父母の愛、兄弟姉妹の絆は、多くの読者に共感を呼び起こすことでしょう。

この作品は、過去から学ぶことの重要性を教えてくれるだけでなく、未来に向けた希望を持つことができるようなメッセージを発信しています。戦争の悲劇の中から生まれたかよ子の物語は、読む人に深い感動を与え続けています。

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