うっかり博士の大発明 フラバァ

うっかり博士の大発明 フラバー：忘れっぽい教授と空飛ぶ車の物語

1961年、ウォルト・ディズニー・プロダクションによって制作された『うっかり博士の大発明 フラバー』（原題：The Absent-Minded Professor）は、軽妙なユーモアと心温まるストーリーで知られる、ディズニー作品の中でも特筆すべきコメディ映画です。ソフト化に際しては『フラバー うっかり博士の大発明』と改題され、カラーライズ版もリリース。1997年には『フラバー』としてリメイクされるなど、長きに渡り愛され続けている作品です。

忘れっぽい教授と奇跡の発明

主人公はメドフィールド工科大学で化学を教えるネッド・ブレイナード教授。実験に没頭すると周囲の状況を忘れてしまうほど研究に没頭する性格で、なんと結婚式を二度もすっぽかしてしまうほどです。彼の婚約者ベッツィは、三度目の正直を信じ、結婚式を心待ちにしますが…。

そして運命の結婚式当日、ブレイナード教授は驚くべき発明を成し遂げます。それは、想像をはるかに超える弾力性を持つ物質「フラバー」です。しかし、その興奮のあまり、彼は結婚式を完全に忘れてしまいます。慌てて式場へと急ぐ教授ですが、三度目の裏切りに怒り心頭なベッツィは、関係の終止符を告げます。教授の誠実な弁明にもかかわらず、二人の関係は容易には修復できません。

大学存亡の危機と空飛ぶT型フォード

一方、ブレイナード教授が勤める大学には、深刻な問題が起きていました。融資の返済期限が迫っており、大学を乗っ取って住宅地開発を企むオールド・ラング・ザイン・ファイナンス社の社長、アロンゾ・P・ホークが虎視眈々と大学を狙っていました。さらに、アロンゾの息子がブレイナード教授の授業で落第したことをきっかけに、事態は一層複雑化していきます。

そんな中、ブレイナード教授は自身の所有するT型フォードに、自身の発明である「フラバー」を取り付けます。そして、誰もが驚くべき事態が起きます。T型フォードは、フラバーの驚異的な推進力で空を飛び始めたのです！

この驚愕の光景を目撃したアロンゾは、教授に取引を持ちかけます。しかし、教授はこれを拒否し、この偉大な発明を大統領に報告することを決意します。しかしアロンゾは教授のT型フォードを、そっくり同じ車とすり替えるという卑劣な手段に出ます。

個性豊かなキャラクターと華麗なスタッフ陣

本作品は、魅力的なキャラクターと、ディズニー作品ならではの華麗なスタッフ陣によって支えられています。監督はロバート・スティーヴンソン、製作と脚本はビル・ウォルシュ、そして、音楽はジョージ・ブランズが担当。アカデミー賞にもノミネートされるなど、その高い技術力と芸術性が認められています。

また、本作品は、後に『フラバー』としてリメイクされましたが、オリジナル作品の魅力は色褪せることなく、現代においても多くのファンを魅了し続けています。忘れっぽい教授のドジな行動と、空飛ぶ車の驚異的な光景、そして、そこに潜む人間ドラマ。世代を超えて楽しめる、まさにディズニー映画の傑作と言えるでしょう。

プリンストン大学の教授がモデル？

興味深いことに、本作の主人公であるネッド・ブレイナード教授のモデルは、プリンストン大学の教授で「Dr.Boom」と呼ばれていたヒューバート・アリアであると言われています。彼のユニークな研究姿勢や、時に予想外の行動が、この愛すべきキャラクターを生み出したのかもしれません。

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