えのしま型掃海艇

えのしま型掃海艇の概要

えのしま型掃海艇（英: Enoshima-class minesweepers）は、海上自衛隊が運用する中型掃海艇であり、海自において初めて繊維強化プラスチック（FRP）を用いた艦級です。この艦級のネームシップの建造には、約201億円の費用がかかりました。

来歴

第二次世界大戦以前、掃海艇の役割は艦隊の前進路を掃海することにありました。このため、従来の掃海艇は比較的高速で重装備の鋼製艇が中心でした。しかし、戦後成熟した技術により、朝鮮戦争を経て多様な機雷が登場しました。その中には磁気や音響に反応する感応機雷が含まれ、これに対抗するため、1950年代から掃海艇では積極的に非磁性材料が使用され始めました。29年代の中頃、安全性やコストの観点から非磁性の木材が使用されていましたが、木材価格の高騰と技術者の減少に伴い、FRPによる新しい掃海艇の開発が模索されました。

世界初のFRP掃海艇は1972年にイギリス海軍の「ウィルトン」が進水し、その後、欧州においてはFRP艇が広がりを見せました。日本でも1978年から「強化プラスチック艇」に関する研究が行われ、1982年には試験艇「ときわ」が建造されました。この艇はその後、海自で長期間運用されましたが、当時の技術的制約からFRP掃海艇の本格採用には至りませんでした。

2000年頃になると、日本でも船舶技術者の減少が問題視されるようになり、FRP艇の特性が見直されました。一般的に、FRP艇は木造艇に比べて長寿命かつコスト効率が高いとされています。これを受けて、17中期防に基づいて新たに建造される4隻の掃海艇のうち、後半の2隻としてえのしま型が誕生するに至ります。

設計

えのしま型は、ガラス繊維強化プラスチック（GFRP）を用いた新しい船体構造を特徴としています。この構造は、優れた水中放射雑音低減能力を備え、掃海作業において大きな利点を持ちます。艦船の設計では、表皮にガラス繊維とビニルエステル樹脂を使用し、心材には高密度ポリ塩化ビニルが採用されています。また成形においては、日本鋼管が開発した真空樹脂含浸製造法（VaRTM）が利用されています。これにより、艦艇の主船体は分割された3つのブロックを接合する形で建造されます。

主機や電源系は、従来の16MSCと同様の構成が採用されており、三菱重工業製の非磁性ディーゼルエンジンと、掃海任務に適した発電機が搭載されています。さらに、1番艇には構造モニタリング装置が装備され、海域での船体強度が継続的に監視されます。

装備

えのしま型の掃海能力は、16MSCを基に設計されており、対機雷戦システムに特徴があります。OYQ-201掃海艇情報処理装置を中心に、機雷探知機や機雷掃討具が備わっています。また、武装としては、更新された自動照準式の20mm機関砲が導入され、これにより自衛能力も強化されています。

このように、えのしま型掃海艇は、従来の技術を踏襲しつつも、現代社会のニーズに応じた技術革新を具現化する艦艇として、進化を遂げてきました。

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