えびすだわら

えびすだわらの伝統行事

えびすだわらは、秋田県雄勝郡に根づく伝統的な祭りであり、その年の秋の豊作を願って毎年旧暦の送り盆である8月15日に行われます。地元住民からは「えびしだら」や「えびすだら」と称され、地域の人々はこの祭りを通じて結びつきを深めています。

祭りの特色

この祭りの特徴的な要素は、各町内会の少年たちが参加して自ら作り上げた神輿、すなわち「えびしだら」を曳くことです。神輿は、台車に乗せた米俵を使用し、華やかな飾り付けが施されています。彼らは手に灯篭を持ちながら、道を練り歩き、各家の前で立ち止まり、特有の節回しで歌を唄います。

独特の唄を歌い上げながら、おひねりを集める様子は、地域の人々との交流を生む重要な瞬間です。このおひねりは、神輿の制作や祭りの運営に対する感謝の気持ちを示すもので、集まったおひねりは神輿製作に貢献した町内会で分配されます。

夜間の盛り上がり

祭りがクライマックスに達すると、夜になると成人の部が始まります。灯篭の中にろうそくの火が灯され、囃し太鼓の響きに合わせて、酒に酔った男性たちが巨大な「えびしだら」を囲み、少年たちと同じ節回しで唄を合唱します。この光景は、祭りに参加する人々にとって忘れられない思い出となり、地域の文化を継承する重要な役割を担っています。

伝統と変化

これまで長きにわたり続いてきたえびすだわら祭りですが、近年では過疎化や少子化の影響を受け、祭りの担い手が急速に減少しています。伝統的には男性が参加する祭りでしたが、一部の町内会では女の子の参加を可能にし、祭りの存続を目指す試みが見受けられます。しかしながら、神輿の数は年々減少しており、今後の祭りの存続が危惧されています。

唄の一部

祭りで歌われる「えびしだら」の唄は次の通りです：
1. たかいぃ～ やまぁかぁら～ たにぞ～こぉみぃれば～ なしや～ りんごぉの～ はぁなぁざぁ～かぁり～
(高い山から谷底見れば、梨や林檎の花が咲き誇ります。)
2. 咲いた桜に 枝折るカラス 情け知らずの山ガラス
3. 鳴くなニワトリ まだ夜は明けぬ 明けりゃお寺の鐘が鳴る
4. 箱根八里は 馬でも越すが 越すに越されぬ大井川
5. おまえ百まで わしゃ99まで ともに白髪の生えるまで
6. 黒いくろい 炭焼きあねご 色は黒いが味は良い
7. ここの〜ぉ 親方 いずぎーでみでもぉ（いつ来てみても）おぐの（奥の）座敷で 金知ら〜べぇ

えびすだわら祭りは地域の誇りを反映する貴重な行事であり、これからもその伝統を守り続けていくことが求められています。

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