おとうと (2010年の映画)

映画『おとうと』の概要

映画『おとうと』は、2010年に公開された日本映画で、山田洋次監督が手がけた作品です。この映画は、彼にとって10年ぶりの現代劇であり、1960年に公開された市川崑監督の『おとうと』へのオマージュが込められています。特に、病に倒れた弟に姉が鍋焼きうどんを食べさせる場面や、二人がリボンで手をつないで眠る寝姿が繰り返し描かれ、深い感動を呼び起こします。

公開初週末には303館で上映され、わずか2日間で21万8,171人を動員し、興行収入は2億3,592万9,100円に達しました。この好成績から、週間興行成績ランキングでは初登場3位にランクインし、公開2週目には興収が10億円を突破しました。また、公開15日目には動員が約101万人に上るなど、大ヒットを記録しました。

さらに、映画は2010年の第60回ベルリン国際映画祭でのクロージング上映も果たし、山田監督には特別功労賞にあたるベルリナーレ・カメラ賞が贈られました。

ストーリー

物語の中心は、姉の吟子と、自由気ままな弟の鉄郎です。吟子は結婚して数年後に夫を亡くし、小さな薬局を営みながら娘の小春を育てる孤独な母親です。対照的に、弟の鉄郎は役者としての成功を夢見ながらも、無駄に年月を過ごしてしまいます。彼は姉の夫の十三回忌の席で大暴れしてしまい、その結果、親族中の嫌われ者になっていました。その後、約10年も連絡が途絶えた状態が続きますが、小春の結婚を知り、披露宴に現れることになります。

家族と親戚たちが彼を歓迎しようとする中、吟子は鉄郎に酒を一滴も飲まないよう約束させますが、酒の誘惑に負けてしまい、披露宴を台無しにしてしまいます。この出来事は、小春の結婚に影を落とし、後に結婚が破綻する原因ともなります。親族たちは次々と鉄郎との絶縁を決意しますが、ただ一人、吟子だけは彼を見捨てずにいました。しかし、ある事件がきっかけで、吟子はついに鉄郎との絶縁を決意します。鉄郎はその後、辛辣な言葉を残し去っていきますが、実はすでに死の病に冒されていたのでした。

キャスト

キャストには吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優などが名を連ねています。高野吟子を吉永小百合が演じ、鉄郎を笑福亭鶴瓶が演じることで、物語に深みが加わっています。

受賞歴

映画は第34回日本アカデミー賞で、優秀作品賞や監督賞、脚本賞など計10部門にノミネートされ、多くの賞を受賞しました。特に、主演男優賞を笑福亭鶴瓶が受賞し、その演技が高く評価されました。

このように『おとうと』は、家族のドラマを深く描き、観る者に感動を与える作品となっています。山田洋次監督の手による現代劇としての位置づけ、そして彼のキャリアの中でも特別な作品となることでしょう。

もう一度検索