おれは鉄兵

おれは鉄兵

『おれは鉄兵』は、ちばてつやによって作られた日本の漫画作品で、1973年から1980年まで『週刊少年マガジン』で連載されていました。この作品は、野生児・上杉鉄兵が東京にある名門・上杉家に戻ってからの学園生活を描いています。1976年には第7回講談社出版文化賞児童漫画部門を受賞し、その後1977年にはテレビアニメ化され多くのファンに愛されました。

概要

主人公の上杉鉄兵は、山奥で父親と共に生きる野生児で、彼の自由奔放な性格が物語の中心となります。鉄兵は、以前は野山で自由に遊んでいたものの、東京の名家の三男という立場が明らかになり、家族と一緒に上杉家に戻されます。新たな環境で彼は、学校生活やスポーツ、特に剣道を通じて成長していきます。

ちばてつやは、この作品の中で剣道を重要なテーマとして取り上げていますが、当初は剣道に関するエピソードは少なく、むしろ主人公の野生児的な生活が強調されていました。特に、塾に通うことが多くなった現代の子供たちに対する反発や、自由な遊びが失われることへの危機感が背景にあったと語っています。

漫画とアニメの展開

原作漫画は圧倒的な人気を誇り、講談社から様々な形で出版されています。単行本は全31巻、そして特別版や文庫版もあり、多くの読者に届いています。また、1976年から1981年にかけて、別名「テッペーくん」として4コマ漫画が広報誌に連載され、これもまた多くの子供たちに親しまれました。

評価と反響

この作品は、主人公・鉄兵の気ままさと、彼に振り回される周囲の人々の反応をコミカルに描いており、特に当時の塾通いの子供たちに対する一種の反抗やメッセージを込めています。詩人の鈴木志郎康は、本作を「痛快マンガ」と称し、鉄兵が持つ特異な背景が普通の少年たちにとって憧れの存在であることを指摘しました。また、著名な漫画編集者・鳥嶋和彦は、この漫画を最も読みやすいとして推奨しています。

あらすじ

物語は、明泉の山奥で父親と共に埋蔵金の発掘をして育った鉄兵が、警察沙汰になるような騒動を起こしながら学園生活に突入するところから始まります。様々な問題を起こしながらも、剣道の才能を見せつけ一気に学園内の有名人へと成長します。しかし、彼の奔放な性格や成績不振から退学となり、次に編入した東台寺学園ではさらなる困難に直面することになります。

東台寺学園では、練習試合で先輩たちと激闘を繰り広げ、関東大会での輝かしい勝利を収めますが、自身の行動が原因で停学処分を受けます。それでも鉄兵は諦めることなく、再び野生児としての能力を発揮し、仲間たちと共に新たな冒険に挑む姿が描かれています。

登場人物

• - 上杉鉄兵: 主人公。奔放で自由な性格を持つが、剣道への情熱は誰にも負けない。
• - 上杉広美: 鉄兵の父。発掘に情熱を注ぎつつ、子供たちに愛情深い。
• - 上杉忍: 鉄兵の母。優しく子供を見守る。
• - 王臨学園のメンバー: 鉄兵が出会うライバルや友人たち。特に剣道の仲間たちとの関係が物語の鍵を握る。

アニメ版

『おれは鉄兵』は1977年から1978年にかけてアニメ化され、全28話が放送されました。しかし視聴率は低迷し、結果的に28話で終了しました。アニメ版では、原作では展開されないオリジナルのストーリーやキャラクターも追加され、視聴者を楽しませました。

このように、『おれは鉄兵』は野生児鉄兵の成長と冒険を描く、子供たちに大切なメッセージを伝える作品として評価されています。

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