おろち (漫画)

概要

『おろち』とは、著名な日本の恐怖漫画家楳図かずおによって描かれた作品であり、また2008年には実写映画に化けた作品でもあります。この漫画は1969年から1970年にかけて『週刊少年サンデー』で連載され、全体はオムニバス形式で構成されています。

物語の中心には、特異な能力を持つ美少女「おろち」がいます。彼女は不老不死の存在であり、様々な人々の波乱に満ちた人生を見つめ、また時にはその運命に介入する役割を果たします。全体で9つの異なる短編から成り立っており、それぞれが独特の恐怖と心理描写を展開します。おろちは一見、主体ではないように見えますが、彼女の行動が登場人物の運命を大きく変えることもあります。

また、光を当てられているのは、ただ単に恐怖を呈示するのではなく、人間の心の奥深くに潜む恐ろしい側面を描き出すことに特化しています。作品の結末には予期せぬ逆転が待っていることが多く、読者を最後まで引きつけます。

各ストーリーの概要

1. 姉妹

美貌を持つ姉妹が描かれるストーリー。彼女たちは「18歳の誕生日を迎えると醜くなっていく」という血筋の家に生まれ、その運命に翻弄されます。女心の執念と恐ろしさがテーマです。

2. ステージ

交通事故で父を失った少年が、心に暗い影を抱えつつも歌手としての栄光を追求する姿を描く物語です。夢の舞台に立つための苦境がテーマです。

3. カギ

嘘をつく癖を持つ少年が、殺人事件を目撃しますが、大人たちは彼の証言を信じようとしません。彼は次第に命の危険にさらされることになります。

4. ふるさと

ヤクザの道に進むことになった青年が、ふるさとを思い出し、脳に重傷を負った際に恐ろしい奇跡を体験します。

5. 骨

若くして配偶者を失った女性が、おろちに助けられようとする物語ですが、彼女は不幸な失敗を迎え、恐ろしい結末が待ち受けます。

6. 秀才

1歳で命の危機に遭遇した少年が、ある秘密を知ったことから知識を求め、勉強に没頭する様子を描きます。

7. 眼

盲目の少女が命を狙われた瞬間、予想を超えた力を発揮します。

8. 戦闘

父の戦争体験を通じて、人間の醜さと生きる意味を模索する少年の苦悩が描かれています。

9. 血

優秀な姉と比較され続け、悲惨な人生を送る妹の視点から展開される人間模様が、全体のクライマックスを飾ります。

おろちの能力

おろちは特異な力を持つ存在であり、彼女の能力には不老不死の肉体、念動力、精神感応、呪術が含まれています。彼女は基本的に年を取ることはなく、痛みに対する感受性も鋭くありませんが、時折「ねむり」に陥ることでその肉体に影響が現れることもあります。また、他者の精神に介入する能力があり、暗示や記憶を操ることが可能です。

映画化

『おろち』の映画は、物語の中でも特に印象的な「姉妹」と「血」を基盤に構築されています。楳図自身が自作の映像化を高く評価していることから、その重要性が伺えます。映画のプロデューサーや監督が著名であり、キャストの中には中越典子や木村佳乃などの実力者が名を連ねています。2009年にはDVDも発売され、特典映像やメイキングも収録されました。

『おろち』は、作品自体の持つ心理的な恐怖とその奥深い人間描写が、様々な形で人々の心に響いていることが特徴です。

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