お気に召すまま (1962年のテレビドラマ)

『お気に召すまま』

概要

『お気に召すまま』は、1962年7月から11月にかけて放送された全20回のテレビドラマシリーズです。この番組は、日本教育テレビ（現在のテレビ朝日）で放送され、安部公房が企画、構成、監修、原案を手がけました。その目的は、視聴者に前衛的で理解しやすく、楽しめるドラマを提供することでした。このシリーズは「前衛ドラマ・シリーズ」としてオムニバス形式で展開されており、視聴者に現代社会の欲望や風刺を伝えることを目指しました。

制作背景

安部公房は、このシリーズの制作にあたり、事前に「われわれの欲望が実現しすぎる悲喜劇を風刺的に扱いたい」と述べています。各話は独立して展開されるため、毎回異なるテーマやキャストが登場します。放送中には、安部自らがドラマの導入や解説を行い、作品の意図を明示する場面も見られました。

しかし、第5回の「幽霊会社」ではスポンサーからのクレームがあり、予定していた第6回は再編成され、安部公房が関与しない単発ドラマ「新婚旅行」が放送されることとなりました。

エピソード概要

第1回「あなたがもう一人」

このエピソードでは、機械文明が進化した未来に、金持ちの娘ユウ子が自分と同じ脳波を持つロボットを手に入れ、面倒ごとをそのロボットにさせることで、快適な生活を送りますが、結局はロボットに生活を奪われてしまう様子が描かれます。

第2回「水いらず」

原案を安部公房が提供したこのエピソードでは、さまざまな人間関係が描かれます。

第3回「天才の秘密」

マーク・トゥエーンの作品がベースとなっており、天才が秘めた真実について探ります。

第4回「不満処理します」

日常の不満をテーマにしたエピソードで、時事問題に焦点を当てています。

第5回「幽霊会社」

星新一原作のこの回は、現代社会における企業の矛盾を描き出しました。

第6回「新婚旅行」

スポンサーからの要請で急遽組まれたエピソードは、新婚夫婦の視点で描かれます。

以降のエピソード

シリーズはさまざまなテーマを探究し、笑いと深いメッセージが盛り込まれました。とりわけ、現代人の生活や欲望の裏側に潜む問題を、ユーモラスに、また時にはシリアスに描写していきました。

最終回

第20回では、タイムマシンを使ったコミックタッチのストーリーが展開され、夫婦が欲望を満たすために過去に戻る様子が描かれます。このエピソードは安部公房自身が初めて演出を手がけた作品でもあります。

参考文献

このシリーズは安部公房の文学的思想や独特の視点が色濃く反映され、彼の作品群のなかでも特記すべきものです。一部の作品は後に戯曲化されるなど、様々な媒体で評価されています。

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