かくは宮川

かくは宮川の歴史と特徴

かくは宮川（かくはみやがわ）は、青森県弘前市においてかつて営業していた日本の百貨店です。1901年に設立された「かくは宮川呉服店」は、弘前藩の御用商人であった宮川家が創業したもので、1923年に新たにホテルと併設した鉄筋コンクリート造の店舗を開業しました。この建物は、東北地方で初めての鉄筋コンクリート製の百貨店であり、当時の流行の最先端を行っていました。

開業と初期の成功

1923年1月25日に完成した新店舗は、3階建てで540坪（約1782m²）という広さを持ち、エレベーターも備えた設備でした。営業初日には多くの顧客が訪れ、大混乱が生じるほどの盛況ぶりを見せました。その後、1935年には5階建てへと増築され、さらに多くの客を引きつける人気のスポットとなりました。

戦争の影響と再開

第2次世界大戦中、弘前市は空襲を免れたため、店舗は無傷で残りましたが、進駐軍に接収され、一時的に営業を停止。戦後、店舗は返還されると営業再開にこぎつけ、屋上には遊園地が設置されるなどして、昭和30年代は特に多くの市民に楽しまれました。この頃は消費ブームが起こり、かくは宮川は土手町商店街の中心的存在となりました。

イノベーションと衰退

1959年には青森県で初めてパートタイマーを採用し、1965年にはエスカレーターが設置されるなど、時代に合わせた変化を続けました。しかし、1978年に老朽化が進行し、消防設備の整備が困難になったため、長年の営業に幕を下ろすことになりました。

この期間、かくは宮川は「百貨店法」に基づき、日本百貨店組合に加盟し、松木屋や菊屋百貨店とともに名を連ねたことは重要な歴史的側面です。戦後、新たに開設された競合店や近隣の大手百貨店が進出する中で、かくは宮川は苦境に立たされることとなりました。

跡地の展開

1978年に店舗が閉店した後、かくは宮川の跡地には1980年に「ハイ・ローザ」というファッションビルが開業しました。このビルには若者向けの75のテナントが入居しましたが、商業の中心が弘前駅前へ移るにつれ、集客力が低下し、1998年には閉鎖される事態に至ります。

さらに、ハイ・ローザ跡地は後に弘前商工会議所によって運営される屋台村となりましたが、こちらも閉鎖され、2011年にはマンション業者に売却されました。

文化的遺産としての存在

かくは宮川は半世紀以上にわたり弘前市民に親しまれ、文化的な影響も持ち続けました。具体的には、弘前県立郷土館や弘前市の「追手門広場ミニチュア建造物」に店舗の模型が展示されています。また、作詞家三浦徳子が手掛けた曲の中にかくは宮川を思わせる情景描写があり、歌詞に描かれた遊園地やメリーゴーランドの記憶は、地域社会の心の奥に残っています。

結論

かくは宮川は、単なる百貨店としての存在を超え、地元の歴史、文化、経済の発展と深く結びついていました。時代の変遷とともに変化を遂げながらも、地域の人々の心に残る思い出を生成し続けたことは、かくは宮川が持つ不朽の魅力であると言えるでしょう。

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