かぐや姫 竹御殿

かぐや姫 竹御殿

京都市西京区松尾に位置する「かぐや姫 竹御殿」は、竹工の名人である長野清助が27年の歳月をかけて、独力で建造したユニークな建築物です。その名の通り、竹を主な素材とし、金閣寺を模した外観が特徴的です。豊かな竹林が広がる松尾の地は、竹取物語の舞台とも言われており、この竹御殿はまさにその物語を体現するかのようです。

建築の特色

竹御殿は、長野清助が考案した「清助貼り」という特殊な技法を用いて建てられています。この技法は、竹片をモザイクタイルのように貼り付けるもので、他に類を見ない独特の建築様式を生み出しています。この地域には、鈴虫寺や苔寺、地蔵院など、多くの名所が点在していますが、その中でも竹御殿は、ひときわ異彩を放つ存在です。

歴史と変遷

2000年代までは、長野清助の息子が竹細工師として、そして息子の妻が占い師として竹御殿を管理し、一般公開されていました。訪れる人々は、願い事を書いた色紙で折鶴を作り、竹御殿の中に安置されたかぐや姫像に捧げることで、願いが叶うと信じられていました。この場所は、地元の人々にとって特別な場所であり、多くの人々に親しまれてきました。

2017年には、京都市より「京都を彩る建物や庭園」の一つに認定されました。しかし、2018年の台風21号によって被災し、修繕が必要となりました。修繕作業中には、長野清助の孫が転落事故に遭うという不幸な出来事も起きました。この事故をきっかけに、親族のみでは建物の管理が難しくなったため、京都市の文化財マネージャーと相談の上、近隣住民が建物を取得することになりました。

現在の姿

2021年には、平屋棟と厠棟が改装され、2022年3月には、近隣住民のプロデュースにより、ブルックリンスタイルのヴィンテージカフェ「BAMBOO COFFEE」がオープンしました。これにより、竹御殿は新たな姿で人々に再び開放され、地域の活性化にも貢献しています。カフェでは、竹御殿の歴史と魅力を感じながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。

アクセス

所在地：京都市西京区松尾万石町

交通手段：京都バス苔寺バス停前

営業日：不定休（ただし、休日・祝日は開いていることが多い。確実に行きたい場合は事前予約が必要）

メディアでの紹介

1994年9月には、NHK大阪の『ちょっといい旅』で「竹林に祭りばやし流れて～京都・洛西～」として紹介されました。

参考文献

向井大輔『【かぐや姫竹御殿】思いのたけ 光る職人魂』asahi.com（朝日新聞社）、2011年11月4日

関連リンク

BAMBOO COFFEE公式サイト

かぐや姫 竹御殿は、その歴史と文化的な価値、そして新たな活用によって、今後も多くの人々に愛され続けるでしょう。

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