かしめナット

かしめナット：薄板へのネジ締結を可能にする画期的な技術

かしめナット、または圧入ナットは、薄い金属板や、ネジ穴が破損している箇所に、新たにネジ穴を作るのが困難な場合に用いられる、非常に便利な締結部品です。母材に直接ねじ山を切る代わりに、ナット自体を母材に固定することで、確実な締結を実現します。本稿では、かしめナットの種類、特徴、代表的なメーカー製品について詳しく解説します。

かしめナットの種類

かしめナットは、大きく分けて2つの種類に分類されます。どちらも六角ナットと丸ナットの両方があります。

1. リベットナット

リベットナットは、ブラインドリベットと似た原理で固定されます。ナット自体が母材を挟み込むように塑性変形し、母材を変形させることなくしっかりと固定します。特殊な工具である「ナッター」を使用して取り付けます。

リベットナットは様々な名称で呼ばれており、ポップナット、ウエルナット、セルスペーサ、ジャック、クリンチ、ブラインド、ハック、POP、ナットサート、スクリューグロメット、スルースペーサなど、多くの呼び名が存在します。これは、メーカーや用途によって呼び方が異なるためです。

2. クリンチングナット

クリンチングナットは、ナット本体に細かい突起（歯車状）があり、この突起が母材に食い込むことで締結します。リベットナットと異なり、ナット自身は変形せず、母材が変形して固定されます。そのため、母材の材質が適している必要があります。取り付けは、母材にはめ込み、ボルトを入れる反対側から叩いたり、バイスなどで押し込むことで締結します。「かしめる」のではなく「圧入」と呼ぶ場合もあります。

クリンチングナットも、リベットナット同様、多くの別名を持ちます。カレイナット、NCナット、ボブ、クリンチ、ファブ、カーリング、セルボード、セルフ、圧入ナットなど、様々な呼び方が存在します。

代表的なメーカーと製品

様々なメーカーが、それぞれ独自の技術と特徴を持つかしめナットを製造・販売しています。以下に、代表的なメーカーとその製品をいくつか紹介します。

株式会社ファブエース

クリンチングナット (丸)
ファブナット (六角)

ボーセイキャプティブ株式会社

セルフクリンチングナット SELF-CLINCHING NUTS (丸)
ボブナット BOB NUTS (六角)

西精工株式会社

カーリングナット (六角)
NCナット (丸)

ポップリベット・ファスナー株式会社

カレイナット (六角)
STナット (六角)
SGナット (六角)

日本ドライブイット株式会社

セルファスナー (丸)

まとめ

かしめナットは、薄い金属板や、ネジ穴の破損など、従来のネジ締結方法が困難な状況において、非常に有効な締結方法です。リベットナットとクリンチングナットの2種類があり、それぞれの特性を理解することで、最適な製品を選択できます。 多くのメーカーが様々な種類のかしめナットを提供しており、用途や材質、形状など、様々なニーズに対応できる製品が揃っています。 本稿で紹介した情報が、かしめナットの選定に役立つことを願っています。

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