かぞえうた (Mr.Childrenの曲)

かぞえうた：希望を届ける歌声

2011年、日本を襲った未曾有の大震災。その悲しみと苦しみの中、Mr.Childrenは被災者支援を目的とした楽曲『かぞえうた』を制作しました。同バンド3作目の配信限定シングルとして、2011年4月4日にリリース。前作から約1年5ヶ月ぶり、そして『花の匂い』に続く3作連続の配信限定シングルとなりました。

この楽曲は、iTunes StoreでのPC配信が初めて実施されたことでも注目を集めました。着うたフル配信に加え、デジタル音楽市場への新たな一歩を踏み出したと言えるでしょう。収益金は全額、桜井和寿さんと小林武史さんが発起人であるNPO法人ap bankの基金「ap bank Fund for Japan」に寄付されました。

震災からのメッセージ：希望の灯を灯す

『かぞえうた』は、震災の直後、メンバーのミーティングで生まれたアイデアから制作されました。当初は義援金となる楽曲制作に迷いもあったようですが、「かぞえうた」というフレーズが着想のきっかけとなり、シンプルで力強いメロディーが完成しました。

桜井和寿さんはこの楽曲について、「何もかも失い、悲しみ苦しみに取り囲まれている状態でも、それでもやっぱり希望を探して数えていけたら…また人間にはそういう力があると信じたい。そんな希望の歌です。」とコメントしています。歌詞の大半が平仮名で書かれているのも、そのシンプルで力強いメッセージ性を際立たせています。

レコーディングは、予定されていた『Mr.Children Tour 2011 SENSE』の仙台公演予定日に行われ、配信に先駆け、同ツアーの真駒内セキスイハイムアイスアリーナ公演で初披露されました。この事実からも、この楽曲が被災地への想いを込めたものであることが分かります。

音楽性と展開：シンプルさと深み

『かぞえうた』は、シングルとしては『掌』以来となるノンタイアップ作品です。タイアップがない分、楽曲そのものの持つメッセージがストレートに伝わってきます。

大サビ部分を除き、歌詞が全て平仮名で表記されていることも特徴的です。これは、より多くの人に、言葉の壁を越えてメッセージを伝えたいという、バンドの強い意志の表れと言えるでしょう。平易な言葉選びでありながら、深い悲しみと希望が共存する複雑な感情が巧みに表現されています。

仙台放送では、放送開始と終了時のオープニング、クロージングテーマ曲として使用されました。また、『東日本大震災特別企画 ともに』のエンディング曲や番組宣伝CMソングにも起用され、被災地への支援を呼びかける役割も果たしました。

アルバム収録とその後：記憶を繋ぐ

『かぞえうた』は、Mr.Childrenの17thアルバム『[(an imitation) blood orange]』に収録されています。アルバムに収録されたことで、この楽曲は単なるシングルではなく、バンドの歴史、そして震災の記憶を繋ぐ重要な一曲として、より長く多くの人に届けられることとなりました。

シンプルながらも力強いメロディー、平仮名で綴られた歌詞、そして、震災への深い思いが込められた『かぞえうた』。この楽曲は、音楽の力によって希望を届ける、その可能性を改めて示す作品と言えるでしょう。

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