かたわ

かたわ（片端・片輪）について

「かたわ」という言葉は、日本の古い言語で、身体の一部に欠損がある状態や、そのような状態を持つ人々を指します。この用語は、古くから存在し、特に文学作品においても取り上げられています。源氏物語などの古典においてもその使用が見られ、文化的にも根深い意味を持っています。たとえば、「片」の字は不完全さを表すことから、「かたわ」は不恰好なものや不完全なものを意味する言葉として成立します。

かたわの語源と歴史

「かたわ」という言葉は、典型的には両輪のうちの片側が欠ける、あるいは片足しかないといった肉体的な状況を指していました。しかし、この用語は単に身体的な欠損に限らず、精神的な不完全さをも含む場合があります。戦前の日本では、特に明治時代における国の方針として強兵を重要視した背景から、身体障害者に対して偏見が強かったことに起因し、彼らは「国を富ませる存在ではない」とされてしまいました。このような考えから、「かたわもの」という表現が広がり、差別的なニュアンスを持つようになりました。

現代におけるかたわの扱い

近年では、「かたわ」は差別的な意味合いを持つ言葉として、多くのメディアで使用が禁止されています。テレビやラジオ、新聞などではこの言葉が用いられることはほとんどなく、その代わりにより中立的な表現が求められるようになりました。2015年に女優の市原悦子がNHKのテレビ番組で「かたわ」と発言した際、司会者の有働由美子が謝罪する事態を招きましたが、その対応に対しては賛否が分かれる意見が寄せられました。

かたわをテーマにした文学作品

「かたわ」をテーマとした作品は、日本文学においても数多く存在します。江戸川乱歩の『芋虫』や、三島由紀夫の『金閣寺』、坂口安吾の『白痴』など、身体や精神の障害に関する描写がなされている作品は、多様な視点から障害を捉えています。また、手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』のエピソードにおいては、「カタワ」という言葉の使用が問題視され、より配慮された表現に変更されています。このことからも、「かたわ」という言葉が持つデリケートな側面が浮き彫りとなっています。

終わりに

「かたわ」という言葉は、歴史的には身体障害者を指すために使われてきましたが、その使用は社会の変化とともに変わりつつあります。現代においては、このような表現に対する敏感な反応が見られ、より適切なコミュニケーション方法が模索されています。今後も言葉の使われ方やその影響について考えることが重要です。

もう一度検索