からっぽ (映画)

映画『からっぽ』：孤独と逃避、そして繋がり

2012年に公開された日本映画『からっぽ』は、独特の世界観と繊細な人間ドラマで注目を集めた作品です。瞬時に場所を移動できる不思議な能力を持つ少年と、人生に迷う少女が出会い、共に過ごす中で自分自身と向き合っていく物語が展開されます。

孤独を抱えた少年と少女の逃避行

主人公の加藤小判は、孤独ゆえにテレポート能力を身につけた少年です。一方、ヒロインのシーナは、何かに追われるように彷徨う少女。異なる境遇の二人は、運命的な出会いを果たし、共に逃避行を始めます。一見奇想天外な設定ですが、彼らの心の内面を丁寧に描き出すことで、観る者の共感を呼び起こす人間ドラマとなっています。

群馬県桐生市を舞台に

映画の舞台は、監督の出身地である群馬県桐生市。美しい自然と街並みが、物語の情緒を高めています。全編この地で撮影されたことで、作品にリアリティと深みが増し、登場人物たちの感情をより鮮やかに表現することに成功しています。

豪華キャストとスタッフ陣

主演の加藤小判役には、『山田太郎ものがたり』で知られる清水尚弥、ヒロインのシーナ役には、『20世紀少年〈最終章〉ぼくらの旗』に出演した平愛梨らが出演。大杉漣、麿赤兒といったベテラン俳優陣も脇を固め、実力派キャストが織りなす演技は必見です。監督は、『Mogera Wogura モゲラウォグラ』で注目された草野翔吾。本作が商業映画デビュー作となります。脚本は横川僚平と草野翔吾が共同で担当し、音楽は加藤久貴が担当しています。

数々の映画祭で高い評価

『からっぽ』は、公開後、国内外の映画祭で高い評価を受けました。第4回沖縄国際映画祭 パノラマスクリーニング部門、ID FEST（UK）Emerging Talent部門、ハンブルク日本映画祭2013、第27回 高崎映画祭「若手監督たちの現在」部門など、数々の映画祭で選出され、その作品性は高く評価されています。

「消えたかった僕 消えたかった君」

キャッチコピーである「消えたかった僕 消えたかった君」は、主人公たちの心の葛藤と、彼らが抱える孤独を象徴的に表現しています。このコピーは、映画全体のテーマを端的に示しており、観る者の心に深く突き刺さるものです。

主題歌：たま「電車かもしれない」

主題歌は、日本のロックバンド「たま」の「電車かもしれない」。どこか懐かしく、切ないメロディーが、映画の世界観と見事に調和しています。この楽曲は、作品全体の雰囲気をさらに高め、観終わった後も余韻を残す一曲となっています。


スタッフロール

監督・編集：草野翔吾
脚本：横川僚平、草野翔吾
音楽：加藤久貴
プロデューサー：石戸生人、大坪礼乃、草野翔吾
撮影：井上隆夫
照明：仲西祐介
録音：山方浩
美術：平井淳郎
衣裳：篠塚奈美
ヘアメイク：高桑里圭
制作担当：野村邦彦
助監督：伊藤良一
提供：ホットランド
協賛：コシダカ、桐生瓦斯
企画・製作：ガフ


キャスト

加藤小判：清水尚弥
シーナ：平愛梨
古井六輔：三浦誠己
高田素夫：大杉漣
向田芳郎：品川徹
大山静代：宮下順子
陣内：山本浩司
小判の叔父：向清太朗
志藤：岡田浩暉
梅：橘実里
バイクの男：伊藤毅
* スーパーの店員：アンカンミンカン


『からっぽ』は、現代社会に生きる若者たちの葛藤と、人と人との繋がりを繊細に描いた作品です。その独特の世界観と、心を揺さぶるストーリーは、多くの観客の心に響くことでしょう。

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