きかんしゃトーマス 魔法の線路

きかんしゃトーマス 魔法の線路

『きかんしゃトーマス 魔法の線路』は、人気テレビシリーズを基にした劇場長編作品で、2000年に公開されました。この映画は、トーマスたちと生身の俳優が共演するという試みから誕生しました。すでに確固たる人気を誇っていた「きかんしゃトーマス」の世界が、新たにハリウッドで制作されたのです。この映画は、ブリット・オールクロフトによって製作され、アレック・ボールドウィン、ピーター・フォンダ、マーラ・ウィルソンなど多彩な俳優陣が参加しました。

物語の背景

本作の舞台は、ソドー島と、その隣の異世界であるマッフルマウンテンの「シャイニングタイムステーション」となっています。映画は、これらの異なる世界を結ぶ「魔法の線路」を中心に展開され、トーマスたち蒸気機関車が新しい冒険に挑む姿が描かれています。この異世界設定は、シリーズの新たな試みではありましたが、視聴者にとって受け入れがたい部分もありました。そのため、興行的には期待した成果を上げられませんでした。

あらすじ

物語は、トップハム・ハット卿が休暇でソドー島を離れ、代わりに車掌のミスター・コンダクターがやって来るところから始まります。蒸気機関車たちは彼を歓迎しますが、同時に悪役のディーゼル10も戻ってきます。彼は伝説の蒸気機関車レディーに対して過去に傷を負わせたことがあり、彼らにとっては恐怖の存在です。

しかし、魔法の粉が尽きてしまい、ミスター・コンダクターは窮地に追い込まれます。そんな中、彼の従兄弟であるジュニアとの出会いや、孫娘のリリーが加わることで物語は進展します。リリーは、トーマスたちと共に魔法の粉を取り戻し、シャイニングタイムとソドー島を救うための冒険に乗り出します。彼女の成長や仲間との絆が描かれ、心温まるストーリーが展開されます。

制作舞台裏

本作は、1980年代後半からのキャリアを持つブリット・オールクロフトが着想をもとに進められました。映画製作のためには、パラマウント社と連携を取り、撮影所も選定され、数々の人材が動員されました。リアルな俳優と機関車キャラクターを組み合わせる試みは新鮮でしたが、最終的にはさまざまな制作上の課題も浮上しました。

特に、試写会での否定的な反応を受けて多くのシーンが再構成され、脚本修正が行われた経緯があります。そのため、映画の完成度には評価が分かれる結果となりました。さらに、未公開シーンも多く存在しており、製作の苦労が伺えます。

公開とその後

映画は、イギリスでは2000年7月、アメリカでは同年7月26日に公開され、全体的に1970万ドルの興行収入を記録しました。しかし、さまざまな理由から期待外れの結果となり、ブリット・オールクロフトはこの失敗の責任を負う形で社長を辞任しました。その後、彼は新しいエンターテイメント会社に転職し、同作品の後続作品でも特異な声優システムの導入はされず、シリーズはナレーターの一人語り方式に戻りました。

総評

『きかんしゃトーマス 魔法の線路』は、ファンタジーの要素を伴う意欲作であり、異世界観を作り上げる試みは評価される部分も多いですが、興行的には苦戦した作品でもあります。トーマスたちの冒険を通じて、友情や勇気の物語が描かれ、世代を超えて愛されるキャラクターたちが集結することで、次世代のストーリーテリングに繋がる可能性も秘めているといえるでしょう。

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