きけ、わだつみの声 Last Friends

映画『きけ、わだつみの声 Last Friends』の紹介

『きけ、わだつみの声 Last Friends』は、1995年に東映によって製作された映画で、戦後50周年を記念する重要な作品です。この映画は、1945年の終戦を背景に、戦没した学徒兵たちの遺書を集めた遺稿集からインスパイアされていますが、前作とは異なり、全く新たな物語が描かれています。本作は、前の作品と同じく岡田茂がプロデューサーとして関わる一方で、彼の息子である岡田裕介が新たにプロデュースを手がけ、親子二代による作品としても話題となりました。

ストーリーの概要

物語は1995年、ラグビー場での練習中に意識を失った主人公・鶴谷勇介が目を覚ますところから始まります。彼は1943年の学徒出陣壮行会の最中にタイムスリップし、周りには学徒兵たちが集まっていることに気付きます。勇介は、彼の横にいた男たちに「戦争に行くんだ」と告げられ、運命を共にする仲間たちの導きで、当時の歴史的な瞬間を体験します。

この映画には、織田裕二、風間トオル、仲村トオル、的場浩司など、当時人気のキャストが出演しており、その存在が若い観客を惹き付ける要因となりました。特に、彼らが持つスター性は、映画の興行成績に大きく影響を与えました。

製作の背景

製作は1986年に方針が決まり、戦後50年を迎える1995年、それに合わせて大作映画を競作しようという機運が高まったことがきっかけでした。東映は、岡田茂会長の強い意欲のもと、戦争映画の制作を決定しました。その際、バンダイとの提携も結ばれ、映画の制作費は約10億円に達しました。

製作発表会は1995年1月に行われ、豪華なキャスト陣が一堂に会し、本作の内容やテーマについて語られました。脚本は早坂暁が手がけ、現代の視点から学徒兵の悲劇を描くことに挑戦しました。

撮影と舞台裏

ロケはフィリピンで行われ、中でもパラワン島が選ばれました。現地の厳しい気象条件や、撮影に伴う難しさがありましたが、主要キャストはそれぞれの役柄に没頭して挑んでいました。撮影は、1995年1月末から始まり、予定通り進行しないこともありましたが、無事に完成を迎えることができました。

映画の評価

公開後、本作は興行的にも成功を収めました。初期の不安にもかかわらず、配収は10億円に達し、特に宣伝効果やスターキャストの影響がその成功を後押ししました。初公開から間もなく、東映と東宝の連携による共同プロジェクトの一環として、作品への注目度が高まる中、映画は若者層からも支持を受けました。

また、作品には批評家からの賛否もありましたが、早坂脚本が持つ戦争の痛切なテーマと、その伝承を問う姿勢には賛同が集まりました。

結論

『きけ、わだつみの声 Last Friends』は、戦争を生き抜いた若者たちの心情を描いた、感動的かつ重要な作品であり、戦争の実態やその影響を次世代に伝える役割を果たしています。その深いメッセージ性が、多くの観客に強い印象を与え続けています。

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