きりたんぽ

きりたんぽの概要

きりたんぽ（切蒲英、切短穂）は、うるち米から作られた餅で、杉の棒に巻きつけて焼いた後、食べやすいサイズに切ったものです。これは秋田県の代表的な郷土料理で、特に鶏のだしを使った鍋料理（きりたんぽ鍋）として知られています。きりたんぽは、調理方法や食材に地域差があるのが特徴です。

起源と歴史

きりたんぽは、元々冷やご飯の活用法として工夫されたとされています。そのぜひ秋田県大館市や鹿角市の郷土料理であり、マタギ（猟師）の食文化が影響を与えたという説があります。特に、マタギたちが山から帰る際に余ったご飯を捏ねて棒に巻いて焼いたことが、その始まりとも言われています。伝説によると、南部藩主が巡視に訪れた際、試食したことから「キリタンポ」と名付けられたとも言われています。

きりたんぽ鍋という形式は主に家庭料理であり、使用する鶏肉に特に決まりはありませんが、比内地鶏が人気です。この比内地鶏は、大館市の企業がその鍋料理への適性を見出し、広めたことから人気が高まったとされています。一方、秋田県の南部では、きりたんぽがあまり知られていなかったため、他の郷土料理（たとえば芋煮）と混同されることもありましたが、時代とともに広がりを見せています。

料理の種類

きりたんぽにはいくつかのバリエーションがあります。基本的な「たんぽ（たんぽ餅）」は、棒に半殺しのご飯を巻きつけたものです。「みそつけたんぽ」は焼いたたんぽに味噌を塗ったもので、これも人気があります。もっとも有名な「きりたんぽ鍋」は、濃口醤油や日本酒、砂糖を使ったスープに、鶏肉や野菜を煮込んだ一品です。

きりたんぽ鍋

きりたんぽ鍋の基本的なレシピには、比内地鶏のガラを使っただしに、ゴボウやマイタケ、ネギなどを加えて煮込みます。最後に、きりたんぽを入れて味が染み込むまで待ち、セリを加えることで完成します。この鍋料理は家庭ごとに独自の工夫があり、特定の食材を省くこともあります。例えば、シイタケは入れるべきではないとされており、他のキノコとしてはシメジやマイタケが好まれます。

行事

秋田県では、特に県北部で「たんぽ会」という野外でのきりたんぽ鍋作りが行われています。また、小学校では、遠足の一環として「なべっこ遠足」が行われ、子供たちが実際に鍋料理を作る経験をします。

祭りと評価

本場大館では、毎年10月に「本場大館きりたんぽまつり」が開催され、多くの人々が集まります。同様に鹿角市でも「きりたんぽ発祥まつり」が行われ、地域の文化が紹介されています。さらに、2007年には「農山漁村の郷土料理百選」にもノミネートされ、秋田県の名物としての地位を確立しました。

まとめ

きりたんぽは、秋田の豊かな自然と歴史を反映した食文化の一部であり、地域によってさまざまなバリエーションがあります。温かい鍋料理として、寒い季節にぴったりな一皿です。

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