くノ一忍法帖

くノ一忍法帖

『くノ一忍法帖』は、山田風太郎による時代小説であり、忍法帖シリーズの第4作として知られています。1960年から1961年にかけて『講談倶楽部』に連載され、単行本化の際に初めて『くノ一忍法帖』というタイトルが付けられました。本作は、後に映画やオリジナルビデオシリーズとしても展開され、人気を博しました。

あらすじ

物語の舞台は大坂夏の陣。豊臣家の滅亡が迫る中、真田幸村は5人の女忍者（くノ一）に、豊臣秀頼の子種を託すという密命を下します。彼女たちは信濃忍法を駆使し、その使命を果たそうとします。一方、徳川家康の孫であり、秀頼の妻である千姫は、大坂城落城の寸前に坂崎出羽守に救出されます。しかし、千姫の一行には、秀頼の子を身ごもったくノ一が侍女として紛れ込んでいました。

この情報を知った家康は、千姫に女忍者の引き渡しを要求しますが、千姫は豊臣家を滅ぼした家康への憎しみをあらわにし、拒否します。千姫を溺愛する家康は困り果て、服部半蔵に相談。半蔵は伊賀の鍔隠れの里から5人の忍者を呼び寄せ、事態の収拾を図ります。こうして、豊臣方のくノ一と徳川方の伊賀忍者の間で、壮絶な戦いが繰り広げられることになります。

登場人物

真田くノ一五人衆

お奈美: 「忍法月の輪」の使い手。秀頼の懐妊に失敗。
お瑤: 「忍法筒枯らし」「忍法天女貝」の使い手。肉感的で大柄な美女。
お喬: 「忍法天女貝」の使い手。
お由比: 「忍法夢幻泡影」の使い手。幻想的な美しさを持つ。
お眉: 「忍法幻菩薩」「忍法やどかり」「忍法羅生門」の使い手。童顔で大きな瞳を持つ。オリジナルビデオ版には登場せず、忍法はお由比に集約。

伊賀鍔隠れ五人衆

薄墨友康: 「忍法くノ一化粧」の使い手。異様な風貌を持つ。
雨巻一天斎: 「忍法恋しぐれ」「忍法穴ひらき」の使い手。狼のような恐ろしい顔。
般若寺風伯: 「忍法日影月影」の使い手。阿福に惚れる。
七斗捨兵衛: 「忍法肉鞘」「忍法人鳥黐」の使い手。肥満した体格で精力絶倫。
鼓隼人: 「忍法百夜ぐるま」の使い手。凄みのある美男子。

その他の登場人物

丸橋: 長曾我部盛親の妻。怪力と鎖鎌の使い手。
千姫: 徳川家康の孫娘で豊臣秀頼の妻。
お志津: 千姫に仕える婢。
吉田修理介: 千姫に仕える老臣。
真田幸村: 豊臣方の武将。くノ一に秀頼の子を孕ませる。
服部半蔵正就、正広: 伊賀忍者を統率する兄弟。
徳川家康: 徳川幕府の創始者。千姫に苦悩する。
阿福（春日局）: 家康の孫・竹千代の乳母。
徳川頼宣: 家康の十男。千姫に淡い憧れを抱く。

登場する忍法

本作には、数多くの奇想天外な忍法が登場します。以下はその一部です。

忍法月の輪: 経血を目印にする忍法。
忍法筒涸らし: 性交中に相手を射精させ続け、ミイラ化させる忍法。
忍法天女貝: 女陰で男根を締め付ける忍法。
忍法夢幻泡影: シャボン玉で相手を幼児退行させる忍法。
忍法やどかり: 女同士で胎児を子宮から子宮へ移動させる忍法。
忍法くノ一化粧: 相手の精気を吸い取り、変身する忍法。
忍法人鳥黐: 強力な粘着力のある精液を使う忍法。
* 忍法百夜ぐるま: 影を操り、相手にダメージを与える忍法。

書籍情報

『くノ一忍法帖』は、講談社、角川書店、富士見書房などから様々な形で出版されています。

映画・オリジナルビデオ

1960年代には東映で映画化され、1990年代にはオリジナルビデオシリーズが制作されました。オリジナルビデオシリーズは、山田風太郎の他の作品を原作としたものも多く、「くノ一忍法帖」の名を冠して制作されています。

このように、『くノ一忍法帖』は、奇抜な忍法やエロティックな描写、そして歴史上の人物を絡めたストーリーで、多くのファンを魅了し続けている作品です。

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