こえでおしごと!

こえでおしごと!

『こえでおしごと!』（KOE DE OSHIGOTO!）は、紺野あずれによる日本の漫画作品で、ワニブックスの『コミックガム』にて2008年から2013年まで連載されました。略称は「こえごと」と呼ばれています。この作品は、女子高生がひょんなことからエロゲーの声優をすることになるという、ユニークな設定が特徴です。紺野あずれにとっては、初の一般向け漫画雑誌での連載作品であり、それまでの成人向け[[漫画]]の執筆経験を活かしつつ、新たな読者層を開拓しました。

制作背景

本作の着想は、紺野あずれがMOSAIC.WAVの楽曲『GAMER'S ACTRESS』を聴いたことがきっかけであると、単行本1巻の後書きで語られています。この楽曲が持つ「ゲームの世界で活躍する声優」というテーマが、女子高生がエロゲーの声優をするというアイデアに繋がったと考えられます。

ストーリー

主人公の青柳柑奈は、ごく普通の高校1年生。16歳の誕生日に姉の弥生から頼まれ、姉が経営するエロゲーメーカーで声優のアルバイトをすることになります。最初は戸惑いながらも、周囲の人々の支えや自身の才能に気づき、声優としての道を歩んでいくことになります。

柑奈は、エロゲー特有のセリフや状況に翻弄されながらも、持ち前の集中力と想像力を発揮し、次第にプロの声優も認めるほどの才能を開花させていきます。しかし、その一方で、エロゲー声優としての自分と、普通の女子高生としての自分の間で葛藤することもあります。また、アフレコ中に異性への興奮を促進されると「トランス状態」に入り、演技力が飛躍的に向上するという特殊能力も持っています。

主要登場人物

青柳 柑奈（あおやぎ かんな）

本作の主人公。16歳の女子高生で、陸上部に所属しています。姉の会社でエロゲー声優のアルバイトを始め、「青井かんな」という名義で活動します。純粋で素直な性格ですが、エロゲーの世界に戸惑うことも多いです。しかし、声優としての才能は抜群で、特に感情を込めた演技には定評があります。

青柳 弥生（あおやぎ やよい）

柑奈の姉で、エロゲーメーカー「有限会社ブルーマーチ」の社長です。冷静沈着な性格で、柑奈にエロゲー声優の仕事を依頼した張本人です。柑奈には厳しく接することもありますが、妹思いな一面も持っています。

日置 長俊（ひおき ながとし）

「有限会社ブルーマーチ」の副社長で、シナリオライターを担当しています。弥生の幼馴染で、柑奈にとっては兄のような存在です。穏やかで優しい性格ですが、エロゲーのシナリオを書く際には、情熱的な一面を見せます。

針江 夏実（はりえ なつみ）

「有限会社ブルーマーチ」の原画・グラフィック担当の女性社員。女子高生と制服をこよなく愛するオヤヂ的な性格の持ち主です。エロを描くことと見ることが好きという理由で、この仕事を選んだと公言しています。

弘部 冬実（ひろべ ふゆみ）

「有限会社ブルーマーチ」の原画・グラフィック担当の女性社員。夏実の暴走を止めるストッパー役であり、実は夏実をこの業界に引き込んだ張本人でもあります。

横山 雪平（よこやま ゆきひら）

「有限会社ブルーマーチ」のデザイン背景・グラフィック担当の男性社員。美術大学を卒業後、エロゲー会社とは知らずに入社しました。

能家 葉月（のうげ はづき）

柑奈の親友で、関西弁を話す巨乳の女の子。成績優秀で絵も上手く、柑奈とともにエロゲー声優として活動するようになります。「能登はづき」名義で活動しています。

牧野 小鳥（まきの ことり）

柑奈の親友で、小動物系のロリコンキャラ。ゲーム好きで、コンシューマー系のゲームメーカーに詳しいです。葉月と同様にエロゲー声優となります。「牧原ことり」名義で活動しています。

海津 元樹（かいづ もとき）

柑奈のクラスメイトで、書道部に所属しています。成績優秀ですが、運動は苦手です。両親がエロゲー会社を経営しているため、業界の事情に詳しいです。柑奈の秘密を知る数少ない人物で、彼女を陰ながら支えています。

城山 絢雨（しろやま あやめ）

元樹のいとこで、柑奈たちのクラスに転校してきます。お嬢様育ちで世間知らずなところがありますが、純粋で素直な性格です。柑奈と元樹の関係を誤解し、自身もエロゲー声優の道に進みます。「城元あやめ」名義で活動しています。

藁園 文花（わらその ふみか）

プロの声優で、音羽プロダクションに所属しています。柑奈を優しく指導してくれますが、酒癖が悪く、酔うと自身の処女ネタで絡む癖があります。

酒波 重一（さかなみ しげかず）

音羽プロダクション所属のベテラン声優。文花の先輩で、彼女をエロゲー声優の世界に誘った人物です。セクハラ発言が多いですが、声優としての実力は高く、後輩の指導にも熱心です。

海津 泰人（かいづ やすひと）

元樹の父親で、エロゲー会社「スタジオカイザー」の社長です。物事に動じない穏やかな性格です。

海津 早苗（かいづ さなえ）

元樹の母親で、「スタジオカイザー」の副社長です。明るく社交的な性格です。

アニメ化とラジオ

本作はOVA化もされており、2010年に第1巻、2011年に第2巻が発売されました。また、2010年から2011年にかけて、インターネットラジオ番組『こえでおしごと!WEBラジオ〜ナイショのおしごと!』も配信され、声優陣によるトークや企画が楽しめました。

書誌情報

漫画はワニブックスから全10巻が発売されており、購入特典として、登場キャラクターの「恥ずかしい声」が収録された音声データが付属していました。また、初回限定版にはドラマCDやゲームなどが同梱されたものもあります。2020年からは、双葉社からリブート版となる『こえでおしごと!!』が全3巻で刊行されています。

まとめ

『こえでおしごと!』は、女子高生がエロゲー声優として成長していく姿を描いたコメディ作品です。声優業界の裏側や、エロゲー制作の現場をコミカルに描きつつ、主人公たちの葛藤や友情も描いています。また、個性豊かなキャラクターたちが繰り広げるドタバタ劇は、多くのファンを魅了しています。

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