こち亀30周年企画

「こち亀30周年企画」は、国民的人気漫画である秋本治氏の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、通称『こち亀』の連載開始30周年という記念すべき節目を祝して、『週刊少年ジャンプ』本誌にて2006年に実施された、読者に大きな反響を呼んだ誌上イベントです。この企画は二部に分かれて展開されました。

第一弾「両さんを探せ！」 (2006年42号)

最初の企画は、2006年42号で行われた「両さんを探せ！」です。この号に掲載された全ての連載漫画に、『こち亀』の主人公である両津勘吉が、何らかの形で登場するという前代未聞の内容でした。両津巡査長本人は「パトロール」と称してジャンプ作品の世界を巡っていたようですが、その登場の仕方は多岐にわたりました。ある作品では背景に小さく描かれたり、また別の作品ではストーリーの一コマに突然現れたりしました。彼の「パトロール」は時として作品の展開を止めてしまうなど、良くも悪くも無茶苦茶なものでした。

参加した主な作品とその登場例は以下の通りです。

『アイシールド21』: 試合前の観客の中に紛れて登場。
『銀魂』: 作品の世界観に深く関わり、ウイルスによって人々が両津化するという前代未聞のストーリーが2週にわたり展開されました。このエピソードは後にアニメ化もされています。
『家庭教師ヒットマンREBORN!』: 背景のカレンダーの絵として登場。
『D.Gray-man』: 扉絵や欄外に小さく描かれましたが、単行本に収録される際に削除されています。
『NARUTO -ナルト-|NARUTO_-ナルト-』: 背景の建物の上に登場しましたが、こちらも単行本では削除されています。
『BLEACH』: 扉絵のキャラクターの服の模様に隠されるという、非常に難易度の高い隠し方でした。これも単行本化の際に削除されています。
『魔人探偵脳噛ネウロ』: 電子ドラッグで暴徒化した民衆に混じり、相手に笑顔で銃を突きつけるというシュールな形で登場しました。恐喝された部長や署長も登場。
『みえるひと』: 最終回の背景に、あくびをする両津の姿が描かれました。最終回にまで登場したことで、『こち亀』本編でネタにされています。

第二弾「亀祭り第2部」 (2006年45号)

42号の企画に対するアンサーとして、2006年45号では「亀祭り第2部」が実施されました。今度は舞台を『こちら葛飾区亀有公園前派出所』本編に移し、42号に掲載されていた他のジャンプ作品から、総計83ものキャラクターやアイテムが『こち亀』の世界に特別出演しました。まさに「亀祭り」の名にふさわしく、様々な作品のキャラクターたちが入り乱れる賑やかな回となりました。

こちらも参加した主な作品とその登場例です。

『アイシールド21』: セナ、栗田、ヒル魔といった主要キャラクターが登場。
『家庭教師ヒットマンREBORN!』: リボーンやツナが登場。
『銀魂』: 銀時や神楽、定春などが登場し、特に銀時と神楽は『こち亀』のコマに堂々と現れ、両津と直接的なやり取りを見せました。
『真説ボボボーボ・ボーボボ』、『太臓もて王サーガ』、『ピューと吹く!ジャガー』: これらのギャグ漫画からは、ボーボボや首領パッチ、太臓、ジャガー、ハマーといったキャラクターが登場し、両津たちとのコラボレーションが比較的多く描かれました。
『D.Gray-man』: アレンや千年伯爵などが登場。作者の星野桂氏がかつて『こち亀』のアニメに携わっていたことに触れ、アレンに対して両津が恐縮する場面がありました。
『ONE PIECE|ONE_PIECE』: ルフィやナミなどが登場しました。

この第二弾企画に参加できたのは、あくまで2006年42号時点で連載されていた作品に限られていました。そのため、42号で最終回を迎えた『みえるひと』のキャラクターは登場しましたが、43号から連載が始まった『P2! - let's Play Pingpong! -』のキャラクターは登場していません。

単行本収録

これらの特別な読み切り企画は、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の単行本155巻に収録されています。ただし、「両さんを探せ！」企画における一部作品での両津の登場シーンは、著作権等の関係からか、単行本化の際に削除されているケースがあります。

「こち亀30周年企画」は、『週刊少年ジャンプ』という雑誌全体で、日本の漫画史に名を刻む偉大な作品の節目を盛大に祝うイベントとして、当時の読者に大きなインパクトを与えました。他作品との垣根を越えたこのような大規模なコラボレーションは、ジャンプの作家陣が『こち亀』に対して抱く敬意と、雑誌全体のファミリー感を象徴する出来事と言えるでしょう。

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