こんばんは仁鶴です

『こんばんは仁鶴です』

『こんばんは仁鶴です』（読み方：こんばんはにかくです）は、昭和中期にあたる1972年10月11日から1976年6月24日までの期間、毎日放送（現MBSテレビ）によって制作・放送されたテレビ番組です。ジャンルとしてはトーク番組に位置づけられ、当時の人気上方落語家である笑福亭仁鶴氏が司会進行役を務めていました。毎週、様々な分野からゲストを迎え、司会者との軽妙なやり取りを通じて視聴者を楽しませるスタイルが特徴でした。

番組内容と形式

この番組の中心は、司会者である笑福亭仁鶴氏と、毎週登場する多彩なゲストとの対話にありました。特定のテーマに沿って話が進められることもあれば、ゲストのこれまでの経験や近況、興味深いエピソードなどが自由に語られることもありました。仁鶴氏の巧みな話術と親しみやすいキャラクターは、ゲストから自然な会話を引き出し、番組に温かい雰囲気をもたらしていました。公開形式での収録が行われていたかは不明ですが、テレビの前の視聴者が、まるでゲストのリビングでの会話に立ち会っているかのように感じられるような、アットホームな空間が演出されていたと考えられます。

放送時間の変遷

番組の放送時間は、その放送期間中に一度変更されています。放送開始当初の1972年10月11日から1975年3月26日までは、毎週水曜日の夜7時から7時30分までの30分枠で放送されていました。しかし、1975年4月3日からは、放送曜日が木曜日に変更され、同じく夜7時から7時30分までの時間帯で放送が続けられました。この放送時間の変更は、当時の日本のテレビネットワークにおいて大きな出来事であった「腸捻転解消」と密接に関連しています。1975年3月31日をもって、それまでNETテレビ（現テレビ朝日）系列の準キー局であった毎日放送と、TBS系列の準キー局であった朝日放送との間で、系列局が入れ替わるという大規模なネットチェンジが行われました。毎日放送はこれによりTBS系列へと移行し、『こんばんは仁鶴です』も、このネットチェンジに伴って放送時間が水曜日から木曜日へと移動したのです。

スポンサーと歴史的意義

『こんばんは仁鶴です』は、関西地方を主要な供給エリアとするガス事業者である大阪ガス株式会社の一社提供番組でした。このスポンサーシップは、番組が持つもう一つの重要な側面を示しています。特に、先述の腸捻転解消によって毎日放送がTBS系列へ移行した後、この番組は毎日放送のプライムタイム（主に夜7時から11時までの時間帯を指す）における大阪ガス一社提供枠の第一号となったのです。それまでの毎日放送は、NET系列において異なる時間帯や番組で大阪ガスの提供を受けていた可能性はありますが、TBS系列移行後の夜7時台というプライムタイム開始直後の時間帯で、かつ一社提供という形で始まったこの番組は、その後の毎日放送の番組編成において歴史的な意義を持つことになります。この大阪ガス一社提供によるプライムタイムの番組枠は、『こんばんは仁鶴です』の終了後も継続され、後継番組へと引き継がれていきました。そして、その系譜は途切れることなく続き、現在においても長寿番組である『水野真紀の魔法のレストラン』がこの枠で放送されています。したがって、『こんばんは仁鶴です』は、現在の毎日放送における大阪ガス一社提供のプライムタイム番組枠の礎を築いた、極めて重要な位置づけにある番組と言えるでしょう。

約3年半の放送期間を経て、1976年6月24日に最終回を迎えましたが、笑福亭仁鶴という司会者と、大阪ガスという強力なスポンサーシップ、そして何よりネットチェンジ後の新しい毎日放送における歴史的な役割を果たした番組として、その名は記憶されています。

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