ご当地マンホール

ご当地マンホールとは

ご当地マンホールとは、日本全国各地に存在する、各地域独特の意匠を取り入れたマンホールの蓋のことです。デザインマンホールとも呼ばれます。

概要

ご当地マンホールで採用されているデザインは、地域の観光名所や名産品など、一目でその地域を連想させるものが多いです。しかし、中には深く調べないとモチーフがわからないような、地域に根ざした隠れた名物をデザインに取り入れているものもあります。

デザインは、自治体とデザイナーが協議して決定されることが一般的です。公募によってデザインを決定したり、自治体がおおまかなテーマを提示し、デザイナーが細部を決定するケースもあります。2016年時点では、1,700の自治体に合計1万2,000種類ほどのデザインマンホールが存在すると推定されています。

彩色を施す場合は、着色した樹脂を凹部分に流し込んで作製されます。デザイン性だけでなく、蓋の表面に変化をつけることで、滑り止めとしての安全性も確保されています。

世界各地にもユニークなデザインのマンホールの蓋は存在しますが、ご当地マンホールほど凝ったデザインのものは珍しく、「日本の文化」として捉える人もいます。ご当地マンホールを紹介するウェブサイトや、それに注目する外国人観光客も増えています。

歴史

日本のマンホールの蓋は、明治時代の黎明期には鋳鉄製の格子状のものが採用されていました。その後、JIS規格の基となった「旧東京市パターン」をはじめ、「旧名古屋市パターン」、「旧明石町パターン」など、いくつかのパターンが定型化され、デザインは重視されない傾向にありました。

しかし、大正から昭和初期にかけてのマンホール蓋や消火栓蓋には、凝った幾何学紋様の意匠も見られました。これらの意匠は、注意深く観察しないと由来がわからないような、謎解きのようなパターンが多く、一部の趣味人から注目されていました。

現在のご当地マンホールの発祥は、1977年に沖縄県で下水道普及のイメージ向上を図るために採用された、地元で馴染み深い小魚のデザインであると言われています。

その後、全国的に地方独自の単純な具象模様の蓋が普及し始めました。1980年代に入ると、建設省が製造会社に働きかけ、下水道に対するイメージ向上と理解促進を目的として、誰にでも分かりやすく、注目を集める蓋が増加し、旧来のJIS規格の蓋との入れ替えが進みました。下水道の普及率とご当地マンホールの広まりは比例しており、2016年現在、JIS規格の蓋を使用している自治体は全体の1割程度に留まっています。

2014年3月には、官・財・民の関係者が一堂に会する「マンホールサミット」が開催され、その後も定期的に開催されています。また、ご当地マンホールの情報発信として書籍が出版されたり、情報共有のためのウェブサイトが開設されています。

問題点

マンホールの蓋は、本来滑り止めのために表面に模様が施されていますが、1980年代頃から普及した具象模様の蓋は、従来の幾何学模様の蓋に比べて平面部分が多く、滑りやすいものも存在します。また、カラーマンホールは製造コストが高く、「税金の無駄遣い」という批判もあります。

そのため、20世紀末から21世紀初頭にかけて具象模様の蓋を採用したものの、2010年代頃から最新の滑りにくい細かい幾何学模様のマンホール蓋に切り替える自治体も出てきています。

2018年には、沼津市が製作したアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の登場人物をモチーフにしたマンホール蓋が、傷つけられたり、スプレーで塗りつぶされる事件が発生しました。

関連商品

ご当地マンホールのグッズ化の先駆けとなったのはストラップです。当初、自治体の担当者は、マンホールのデザインの商品化に難色を示していましたが、何度も交渉を重ねるうちに理解を得られ、商品化が実現しました。

その後、マンホールの形状を活かしたコースターや灰皿、クッション、まな板など、様々な商品が開発されています。

ご当地[[マンホールカード]]

ご当地マンホールをコレクションする楽しみ方として、「マンホールカード」があります。これは、各自治体が発行しているカードで、マンホールの写真やデザインの由来などが記載されています。

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