さくら (森山直太朗の曲)

「さくら」 - 森山直太朗

「さくら」は、日本のシンガーソングライター森山直太朗が2003年にリリースしたシングルで、彼の音楽キャリアにおいてブレイクのきっかけとなる重要な楽曲です。この曲は、特に卒業式や予餞会などのイベントで頻繁に歌われる「桜ソング」として知られ、今やその存在は欠かせないものとなっています。

リリースの経緯

この楽曲は、森山が友人の結婚を祝うために制作されたものです。元々は2002年に発売されたコア・アルバム『乾いた唄は魚の餌にちょうどいい』に収録されており、その際はバンドアレンジで録音されていました。しかし、シングルバージョンではピアノの独奏に重きを置き、より清らかで感動的な仕上がりとなっています。

「さくら」は、リリース前の2003年1月から3月にかけて、MBSの紀行番組『世界ウルルン滞在記』のエンディングテーマとしても使用されました。そのため、楽曲に対する認知度が高まり、発売に向けた期待感が膨らみました。

プロモーション活動と初期の成功

森山はリリース当時、特定の事務所に所属しておらず、限られた予算でのプロモーション活動を行いました。宣伝費は数百万円という規模で、発売後すぐに「桜前線北上ツアー」と称した全国展開を行い、九州から北海道まで30都道府県を回りました。各地のレコード店を訪れたり、地元のFMラジオに出演したりと、草の根的なプロモーションが功を奏し、オリコンチャートでは徐々に人気が高まりました。

シングルの初回プレスは約1200枚で、オリコンチャートの初週は80位に達しましたが、徐々に順位が上昇し、最終的には発売から9週目にして見事1位を獲得しました。この快挙は、男性ソロアーティストとしてはKAN以来13年ぶりのことです。

楽曲のアレンジとビデオ

シングル1曲目に収録された「さくら（独唱）」のミュージックビデオは、ピアノの演奏に合わせて森山が歌うというシンプルな構成で、撮影は一発撮りでした。ボーカルやアレンジなどがCD版とは異なり、特にライブパフォーマンスではこのビデオのスタイルが多く採用されています。

受賞歴と影響

「さくら」は、2003年の『ミュージックステーション』に森山が初出演する際にも取り上げられ、その後の年末には『NHK紅白歌合戦』にも初出場しました。さらに、2012年からは東京メトロ上野駅の発車メロディとしても使われており、その普遍性を示しています。

2019年には日本テレビ系の水曜ドラマ『同期のサクラ』の主題歌にアレンジされた「さくら（二〇一九）」が配信され、再び注目を浴びました。このバージョンの制作過程でも、森山のアイデアによりワンカメ一発撮りという手法が活用されています。

タイトルとアルバム

「さくら」というタイトルは、シングルに先駆けてリリースされたアルバムに収録されたバンドバージョンから由来しています。シングルのカップリングには「さくら（合唱）」が収録されており、社会的なイベントでの合唱でも使われるのは主にこの「（独唱）」バージョンを基にアレンジされたものです。曲の魅力と意味は、多くの人々に愛され続けているのです。

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