さすらいの甲子園

さすらいの甲子園

高橋三千綱による小説『さすらいの甲子園』は、1978年に角川書店から単行本として出版され、翌年には角川文庫から文庫版が刊行されました。1980年には、日本テレビ系列の『木曜ゴールデンドラマ』枠でテレビドラマ化もされています。

あらすじ

物語は、長嶋茂雄が監督に就任したものの、読売ジャイアンツが球団史上初の最下位に沈んだ年が舞台です。作家である『私（=さすらいの偽ギャンブラー）』は、長嶋監督を救うべく、アパートの一室「さすらい庵」に出入りする個性的な男たちに声をかけ、草野球チーム『さすらいの甲子園』を結成します。

しかし、チームの初戦はエラーの連発で、0対53という記録的な大敗。その後も連敗を重ねますが、メンバーはそれぞれの思いを胸に秘め、ひたむきに練習に励みます。そして、国体予選を兼ねた区のトーナメント戦に挑んでいくのでした。

登場人物

私（さすらいの偽ギャンブラー）：監督 兼 三番ショート、のち現場監督 兼 セカンド。27歳。作家であり、熱狂的な巨人ファン。チーム結成の中心人物として物語を語ります。
さすらいの恐妻家：一番ライト。23歳。妻帯者でありながら定職に就かず、妻に頭が上がらない。安息の場を求めてさすらい庵に集まります。
さすらいのプラトン：二番キャッチャー。28歳。妻帯者。物語後半では、彼の苦悩と再起が重要な軸となります。
さすらいのドンケツホマレ：四番サード。芸能評論家を自称。チーム初期の主力打者ですが、闘志に欠ける一面も。
さすらいの革命家：五番セカンド。身長184cm、胸囲123cmの巨漢。かつて早稲田で野球をしていたという過去を持ちます。
さすらいの下宿荒らし：六番ピッチャー。25歳。家賃滞納で下宿を追い出される日々を送っており、さすらい庵を temporary な住処としています。速球が武器ですが、制球力は皆無です。
さすらいのバーバリアン：七番センター、のち八番ピッチャー。大学生。原人を思わせる風貌で、100mを超える遠投を軽々とこなす強肩の持ち主です。
さすらいの人間性：八番ファースト。スポーツ紙記者であり、母親が経営する雀荘の手伝いもしています。物静かで実直な人格者です。
さすらいのむっつり右門：九番レフト。さすらい庵で過ごす時間のほとんどを窓の外を眺めて過ごし、何を考えているのか不明な謎めいた男です。
さすらいのスケコマ氏：フリーライター。女性にモテることを自慢し、元高知商業の甲子園球児と自称しています。
さすらいのデブタロック：チーム総監督。自称ボイラーマン兼映画監督。甲子園メンバーを自身の自主制作映画に出演させることを条件に、チームの総監督を引き受けます。

テレビドラマ

1980年に放送されたテレビドラマ版は、物語の骨子こそ原作を踏襲していますが、内容はほぼオリジナルとなっています。野球好きのサラリーマンと個性的な仲間たちが織りなす青春コメディーであり、「のちの『木更津キャッツアイ』の原型になった作品」と評されています。

キャスト

高木道夫：中村雅俊
山上：柴田恭兵
葉子：夏目雅子

スタッフ

原作：高橋三千綱
脚本：鎌田敏夫
* 監督：斎藤光正

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