さよならは一度だけ (オリビア・ニュートン＝ジョンのアルバム)

『さよならは一度だけ』（Totally Hot）

1978年に発表された、オーストラリア出身のシンガーソングライター、オリビア・ニュートン＝ジョンの通算10作目となるスタジオ・アルバムです。本作は、彼女がヒロインを務めた大ヒットミュージカル映画『グリース』の公開とサウンドトラックの成功を経てリリースされた、最初のオリジナル楽曲を中心としたアルバムとして位置づけられています。

『グリース』でのアクティブなキャラクター像や、サウンドトラックでのポップな歌唱スタイルを受け継ぎつつも、より洗練されたポップスやロック、ディスコの要素を取り入れた楽曲が収録されています。このサウンドの転換は、以降の彼女の音楽スタイルに大きな影響を与えることになります。

商業面において、本作はオリビア・ニュートン＝ジョンのキャリアにおける重要な成功作となりました。アメリカ合衆国では100万枚を超える売上を記録し、全米レコード協会（RIAA）から自身にとって初めてとなるプラチナディスクの認定を受けました。また、出身国であるオーストラリアでも、既発のベストアルバムを除けば初めてアルバムチャートでトップ10入りを果たすなど、世界各地で高い評価と商業的成功を収めています。

アルバムからは、シングルとして「愛は魔術師（A Little More Love）」、「愛の炎（Deeper Than the Night）」、「さよならは一度だけ（Totally Hot）」などがリリースされました。特に「愛は魔術師」は世界的にヒットし、全米チャートでも高位を記録しました。これら主要なシングル曲に加え、「さよならは一度だけ」にはプロモーション用のミュージック・ビデオが制作されており、当時の音楽シーンにおける視覚的な表現の重要性の高まりを示しています。

本作に収録されている楽曲は以下の通りです。

愛は果てしなく（Please Don't Keep Me Waiting）
恋に揺れて（Dancin' 'Round and 'Round）
トーク・トゥ・ミー（Talk to Me）
愛の炎（Deeper Than the Night） - 全米シングルチャート11位
かなわぬ恋（Borrowed Time）
愛は魔術師（マジシャン）（A Little More Love）
裏切りの心（Never Enough）
さよならは一度だけ（Totally Hot）
雄々しき翼（Boats Against the Currents）
ギミ・サム・ラヴィン（Gimme Some Lovin）


後年の2010年にリリースされたリマスター盤には、ボーナス・トラックとして以下の楽曲が追加収録されています。

ラブ・イズ・アライヴ (ライヴ・イン・ジャパン 1976)（Love is Alive (Live in Japan 1976)） - この音源は、1980年に発売されたライブ・アルバム『愛のパフォーマンス』（Physical）にも収録されていたものです。
さよならは一度だけ (エクステンデッド・ヴァージョン)（Totally Hot (Extended Version)）


『さよならは一度だけ』は、『グリース』後のオリビア・ニュートン＝ジョンの新たな音楽的方向性を示し、世界的スターとしての地位を確立した作品として、彼女のディスコグラフィにおいて重要な位置を占めています。

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