さよなら子供たち

映画『さよなら子供たち』について

『さよなら子供たち』（仏題：Au revoir les enfants）は、1987年に公開されたフランス映画で、監督ルイ・マルの自伝的作品として知られています。第二次世界大戦下のフランスを舞台に、寄宿学校での少年たちの友情と別れを描いた作品です。1987年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したほか、セザール賞でも多数の賞を獲得するなど、高い評価を得ています。

あらすじ

1944年、ナチス・ドイツ占領下のフランス。クリスマス休暇を終え、カトリック系の寄宿学校に戻ってきたジュリアン・カンタンは、校長のジャン神父から3人の転校生を紹介されます。そのうちの一人、ジャン・ボネはジュリアンのクラスに編入されます。ボネは成績優秀で、ジュリアンは彼に興味を持つようになります。しかし、ある日、ジュリアンはボネが偽名を使っており、ユダヤ人であることを知ります。

ジュリアンはボネがユダヤ人であることを認識しますが、なぜユダヤ人が迫害されているのか理解できません。上級生に尋ねても、キリストを処刑したからという納得のいかない答えしか得られません。ジュリアンにとって、キリストを処刑したのはローマ人だからです。

フランス国内の複雑な状況は、ジュリアンが母親とレストランに行った際のエピソードで描かれます。そこで、親ナチスのフランス民兵団がユダヤ人を店から追い出そうとする場面に遭遇します。店の客が民兵団に反発する中、ドイツ軍人が現れて民兵団を追い払います。この出来事は、当時のフランス社会の混乱を象徴しています。

ジュリアンは大人たちの行動に困惑します。ユダヤ人をかくまう校長が、闇市に関わっていた少年を「金に魂を売った」と責めて追い出すのです。少年もまた差別される側だったにもかかわらずです。

ある日、学校にゲシュタポが現れ、ボネを連行します。他のユダヤ人の生徒も連行され、学校は閉鎖されます。ゲシュタポに密告したのは、以前校長に追い出された少年でした。

生徒たちが並ばされ、数人が連れて行かれる中、校長と3人の少年も連れて行かれます。生徒たちは「さよなら」と声をかけ、校長は「さよなら、子供たち」と応えます。この別れのシーンは、観る者の心を深く揺さぶります。

キャスト

ジュリアン・カンタン：ガスパール・マネッス
ジャン・ボネ：ラファエル・フェジト
ジュリアンの母：フランシーヌ・ラセット
フランソワ・カンタン（ジュリアンの兄）：スタニスラス・カレ・ド・マルベール
ジャン神父：フィリップ・モリエ＝ジュヌー
ミシェル神父：フランソワ・ベルレアン
ジョゼフ：フランソワ・ネグレ
ダヴェンヌ（ピアノ教師）：イレーヌ・ジャコブ

受賞歴

1987年：ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞
1988年：セザール賞 作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞、録音賞、編集賞、美術賞
1987年：ルイ・デリュック賞

作品のテーマ

『さよなら子供たち』は、友情、裏切り、そして戦争の残酷さといった普遍的なテーマを描いています。子供の視点から戦争を描くことで、その悲惨さと不条理さをより強く観客に伝えています。また、人間の複雑さや道徳的な葛藤も描かれており、観る者に深い問いを投げかけます。この映画は、歴史的な出来事を背景に、人間の尊厳や勇気について深く考えさせてくれる作品です。

この映画は、ルイ・マル監督自身の体験に基づいているとされ、そのリアリティと感動的なストーリーが多くの人々の心を捉えています。まだ見ていない方は、ぜひ一度ご覧になることをお勧めします。

関連情報

ジャック・ビュネル

外部リンク

さよなら子供たち - allcinema
さよなら子供たち - KINENOTE
Au revoir les enfants - オールムービー（英語）
Au revoir les enfants - IMDb（英語）

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