しかたなかったと言うてはいかんのです

ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」

概要

『しかたなかったと言うてはいかんのです』は、熊野以素著のノンフィクション『九州大学生体解剖事件 70年目の真実』をもとにしたドラマで、2021年8月13日にNHK総合で放送されました。本作は、太平洋戦争の終息を迎える1945年に九州大学で発生した生体解剖事件を背景にして、主にその中心となった人物の苦悩と葛藤を描いています。このドラマは、その深刻なテーマを取り扱いながらも、社会における戦争と人間の倫理についての考察を促すものであり、視聴者に強い印象を残しました。

あらすじ

物語は、九州大学の西国帝国医学部に所属する助教授の鳥居太一（演：妻夫木聡）が、米軍捕虜を実験体として用いる生体解剖に巻き込まれていく姿を描いています。彼は、当初は普通の手術であると信じて参加しましたが、次第にその実態に気づき、自己の責任に苦しむことになります。太一の妻である鳥居房子（演：蒼井優）は、彼を救おうと様々な努力を尽くしますが、彼は誤解から首謀者として追求され、厳しい裁判に直面します。物語全体にわたって、戦争という未曾有の状況下での人間の選択とその結果が描かれており、登場人物たちの内面的な成長や変化が見どころです。

キャスト

本作には多くの優れた俳優陣が参加しています。主役の妻夫木聡が演じる鳥居太一は、困難な状況に陥りながらも人間としての誇りを持ち続けようと奮闘します。彼の妻、鳥居房子を演じる蒼井優は、愛する人を守るために身を挺して戦う姿が感動的です。また、永山絢斗が演じる冬木克太や、鶴見辰吾が演じる石田幸三など、個性豊かなキャラクターたちが、物語に深みを与えています。

スタッフ陣

この作品は、原作を熊野以素が手がけ、脚本を古川健が担当。音楽は小林洋平が担当し、田中正が演出を行っています。また、歴史的背景を忠実に描写するために医事考証や歴史考証も行われ、多角的なアプローチがなされています。

受賞歴

本作は、その優れた内容が評価され、2021年の文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞しています。これは、ドラマが持つメッセージや演技力、脚本の質の高さを証明するものであり、今後も多くの人に観られるべき作品であることを示しています。

結論

『しかたなかったと言うてはいかんのです』は、戦争という極限の状況下における人間の倫理や選択を鋭く問う作品です。視聴者はこのドラマを通じて、過去の歴史を振り返ると同時に、現代における戦争や倫理の問題を考えさせられることでしょう。

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