しきさい

気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)

気候変動観測衛星「しきさい」は、日本のNECが開発・製造した人工衛星で、2017年12月23日にH-IIAロケットによって打ち上げられました。この衛星は、地球の気候変動を観測し、環境の変化を把握するために重要な役割を果たしています。また、この衛星の愛称「しきさい」は、同日打ち上げられた超低高度技術試験機「つばめ」とともに公募によって決定されました。

観測機器: SGLI

「しきさい」に搭載されている主な観測機器は、SGLI（Second-generation Global Imager）です。これは、以前のGLI（Global Imager）の後継センサーで、観測機能を大幅に向上させています。SGLIは、従来の機械走査システムが大型化・複雑化した反省を踏まえ、2系統に分割され、観測対象チャンネルを絞り込むことで信頼性と生存性を強化した結果、地表面の分解能が向上しました。これにより、250メートルの解像度で観測が可能になったのです。

SGLIは主に2つの放射計で構成されており、「可視・近赤外放射計部」（VNR）と「赤外走査放射計部」（IRS）があります。VNRは、これまでの様々な衛星の技術を継承し、多方向観測ができる偏光観測センサーを搭載しています。これにより、エアロゾルの粒子サイズを明確に識別し、その発生源を特定することが可能になります。

SGLIの機能

• - VNR特徴: VNRは、非偏光観測センサーと偏光観測センサーの2つのサブユニットから構成されています。非偏光観測センサーは、複数の鏡筒を使い、広い範囲を観測しています。また、偏光観測センサーは、偏光面を観察するために異なる方向で観測ができます。これにより、エアロゾルの動向や特性を詳細に把握することができます。

• - IRSの役割: IRSは短波長赤外と熱赤外に分光し、それぞれのセンサーで観測を行います。毎秒のように地表を走査しており、高い性能を発揮しています。観測幅は、VNRが1,150キロメートル、IRSが1,400キロメートルに達し、特に日本周辺では2日に1回の観測が可能です。

技術的な革新

SGLIでは、GLIからの大幅な改善として、観測チャンネル数を36から19に減少させつつ、必要な観測項目に特化しています。この結果、より信頼性と精度の高いデータを提供できるようになりました。観測機器は新しい電子走査方式を採用しており、機械走査の手間を省きつつ、広範囲な観測を実現しています。

まとめ

衛星「しきさい」は、地球環境変動の観測において、非常に重要な役割を果たしています。この衛星が提供するデータは、世界中の研究者や政策立案者にとって貴重なリソースとなっており、持続可能な地球環境の管理や気候変動への適応策に寄与しています。今後の観測成果にも大いに期待がかかるところです。

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