しのぶこころは

『しのぶこころは』と『雪やこんこん』：耽美と奇想の二部作

松本テマリ氏による漫画作品『しのぶこころは』は、2004年3月10日にBE BOY COMICSより初版が発行され、同年10月29日にはマリン・エンタテインメントからドラマCDも発売されました。ドラマCDには、もう一つの短編作品『雪やこんこん』も収録されています。

『しのぶこころは』：忍びの里の情事

物語は、隠密の任を帯びた忍者の里を舞台に展開します。主人公は、新人忍者のすばる。彼は里の頭領である夕月に呼び出され、驚くべき「房事の訓練」を受けることになります。訓練を通して、すばるは夕月への想いを深めていきますが、任務から外されたことを告げられ、自身の未熟さを痛感します。

一方、美人隊長のあさぎは、部下の柊から告白され、動揺を隠せないでいます。任務に忠実で真面目な性格のあさぎですが、柊の危険を目の当たりにした時、忍びとして許されない行動に出ます。この行動の裏には、部下への深い愛情と葛藤が隠されています。

登場人物たちの複雑な感情や、禁断の恋、そして忍びの里における規律と個人の感情の狭間で揺れる姿が、官能的な描写とともに描かれています。夕月の制服プレイへのこだわりなども、作品に独特の色香を添えています。ドラマCDでは、高城元気さん、小杉十郎太さん、野島健児さん、諏訪部順一さんなど豪華声優陣がキャラクターたちに命を吹き込みました。

すばる役には高城元気さん、頭領・夕月役には小杉十郎太さん、真面目な隊長・あさぎ役には野島健児さん、あさぎを慕う部下・柊役には諏訪部順一さんがそれぞれ声を当てています。すばるの先輩であるくノ一・つばめ役には川崎恵理子さんが起用されています。

『雪やこんこん』：雪男と人間の邂逅

『雪やこんこん』は、雪深い山道を歩いている最中に足を滑らせ、遭難した花岡双葉の物語です。意識を取り戻した双葉は、目の前に雪男の深雪が現れていることに気づきます。さらに驚くべきことに、彼女は自分が雪男へと変化してしまったことを知るのです。

この物語は、『しのぶこころは』とは対照的に、ファンタジー的な要素が強く、雪山という厳しい環境の中で、人間と雪男という異種間の交流を描いています。雪男との出会いをきっかけに、双葉は自身や周りの世界を異なる視点から見つめ直し、変化していく様子が描かれています。

『しのぶこころは』と『雪やこんこん』は、異なる世界観を持つ二つの物語ですが、どちらも人間の感情や心の機微を繊細に描き出している点が共通しています。官能的な描写とファンタジー的な要素、そしてそれぞれの登場人物たちの葛藤や成長が、読者に深い印象を与え、忘れがたい作品となっています。

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