しもきた (輸送艦・2代)

海上自衛隊輸送艦「しもきた」 (LST-4002)：多様な任務を担う輸送艦の軌跡

「しもきた」(LST-4002) は、海上自衛隊が保有する輸送艦であり、おおすみ型輸送艦2番艦として知られています。その艦名は、下北半島に由来しており、初代「しもきた」に続く日本の艦艇として、日本の海上防衛に重要な役割を果たしています。

就役と初期活動

「しもきた」は、中期防衛力整備計画に基づき建造されました。1999年11月30日に三井造船玉野事業所で起工され、2000年11月29日に進水、そして2002年3月12日に就役しました。就役と同時に新編された第1輸送隊に「おおすみ」とともに編入され、呉に配備されました。

初期の活動として、2003年にはテロ対策特別措置法に基づき、護衛艦「いかづち」と共にタイ王国陸軍工兵部隊と建設用重機をアフガニスタン近縁のインド洋沿岸へ輸送する重要な任務に就きました。これは、国際貢献の重要な一歩となりました。

その後も、「しもきた」は様々な訓練や演習に参加し、その能力を向上させてきました。2005年には陸上自衛隊の野外手術システムを艦上展開する技術試験を実施、2008年には航空自衛隊との連携訓練を行い、空中輸送における高い協調性を示しました。2009年には沖縄県防災訓練に参加し、多様な機関との連携強化を図りました。

国内外の災害対応と国際貢献

2010年にはパキスタン大洪水への救援活動に貢献しました。陸上自衛隊のCH-47JAを乗せ、物資と人員を被災地へ輸送しました。この活動は、国際社会からの高い評価を受けました。

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、年次検査中だったにもかかわらず、早期に検査を完了させ、4月6日から災害派遣部隊に加わり被災地支援に尽力しました。

多国間訓練への積極的な参加

「しもきた」は、国際的な連携強化にも貢献しています。2013年には米軍との統合訓練「ドーンブリッツ13」に参加し、日米間の相互運用性の向上に貢献しました。この訓練では、米海兵隊のV-22オスプレイの着艦も実現し、注目を集めました。

その後も、「しもきた」は日米共同訓練を始め、オーストラリア、フランスなどとの多国間訓練に積極的に参加し、国際協調体制の構築に貢献してきました。2016年にはパシフィック・パートナーシップに参加し、ベトナムやパラオで医療支援を行いました。2018年には英海軍揚陸艦との共同訓練、2021年には米海軍との複数回の共同訓練を実施するなど、国際的な連携強化に大きく貢献しています。

近年では、2023年5月には博多湾において日本海海戦戦没者追悼式を開催し、同年7月にはインド太平洋方面派遣（IPD23）に参加、豪州や米軍との多国間訓練「タリスマン・セイバー23」やフランス軍との共同訓練「オグリヴェルニー23-4」に貢献しました。同年9月には日米共同訓練（輸送特別訓練）にも参加し、その高い運用能力を実証しました。2024年にも日米共同訓練に参加するなど、活動は現在も続いています。

国内災害対応

2018年7月豪雨の際には、呉市内の被災者に対し、艦内に設置した特設風呂の開放や燃料の輸送など、被災者支援にも貢献しました。

結論

「しもきた」は、その高い輸送能力と多様な任務遂行能力により、国内外の災害対応、国際貢献、そして国際的な連携強化に重要な役割を果たしている海上自衛隊の重要な戦力です。今後も、その活動を継続し、日本の安全保障に貢献していくことが期待されています。

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