しゅんこう (巡視船)

しゅんこう（PLH-42）の概要

「しゅんこう」は、海上保安庁が運用するヘリコプター2機搭載型の巡視船です。船名は春の訪れを告げる季語「春光」に由来し、春の光を思わせる、希望に満ちた船名と言えるでしょう。

この大型巡視船の建造には、実に172億円もの費用が投じられました。これは、その高度な装備と機能を反映した金額と言えるでしょう。搭載するヘリコプター2機による広範囲な捜索能力や、最新の航海機器による高い航行性能を備え、日本の領海を守る重要な役割を担っています。

就役までの道のり

「しゅんこう」は、当初2019年12月18日の就役を予定していました。しかしながら、試運転中に発生した不具合により、就役は延期を余儀なくされました。関係者にとっては、大きな困難を乗り越える必要があったと言えるでしょう。

その後、徹底した原因究明と改良を経て、2020年2月4日にようやく竣工。鹿児島海上保安部（第十管区）に配属され、日本の南西諸島周辺海域の警備に当たることとなります。

鹿児島海上保安部における役割

第十管区である鹿児島海上保安部は、南西諸島を含む広大な管轄区域を有しています。この地域は、近年、領海侵犯や密航などの事件・事故が多発しており、海上保安庁の活動がますます重要になっています。「しゅんこう」の配属は、この地域の安全確保に大きく貢献するものと期待されています。

搭載する2機のヘリコプターは、広大な海域を迅速かつ効率的に捜索する上で大きな力を発揮します。遭難者の救助や密航船の摘発、不審船舶の警戒監視など、多様な任務に対応できる体制が構築されました。

最新鋭の技術と装備

「しゅんこう」は、最新の航海技術や通信機器、そして各種センサーを搭載しています。これらの高度な装備は、安全な航行を確保するだけでなく、広範囲にわたる情報収集や分析にも役立ちます。

さらに、船体の設計にも工夫が凝らされています。悪天候下でも安定した航行を維持できるよう、高い耐航性を実現しています。これは、厳しい自然環境下で任務にあたる「しゅんこう」にとって、非常に重要な要素と言えるでしょう。

日本の海洋安全保障への貢献

「しゅんこう」は、日本の海洋安全保障に貢献する重要な役割を担っています。その存在は、日本の領海と排他的経済水域の安全を守り、国民の生命と財産を守ることに繋がるのです。

今後も「しゅんこう」は、海上保安庁の主力巡視船として、日本の海洋を守るために活躍し続けることでしょう。その活動は、日本の安全と平和に貢献する、重要な役割と言えるのです。

参考資料

海人社（編）「海上自衛隊・海上保安庁 艦船の動向 令和元年度を顧みて」『世界の艦船』第927号、海人社、2020年7月、141-147頁
海人社（編）「海上保安庁船艇の全容」『世界の艦船』第933号、海人社、2020年10月、37-101頁
* 海人社（編）「海上保安庁航空機の全容」『世界の艦船』第933号、海人社、2020年10月、103-116頁

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